菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『これでもととのいますか?~Wコロンのなぞかけツアー~』

これでもととのいますか?~Wコロンのなぞかけツアー~ [DVD]これでもととのいますか?~Wコロンのなぞかけツアー~ [DVD]
(2010/09/15)
Wコロン(ねづっち、木曽さんちゅう

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なぞかけ芸人として一躍有名人となった浅草芸人、ねづっちが属するWコロンの初DVD作品。サブタイトルに“なぞかけツアー”とあるように、Wコロンの二人が一泊二日のなぞかけ旅行をしている様子が収録されている。勿論、単なる旅行ではなく、絶叫マシーンや激辛料理、滝打ちなどのプランが用意されており、ねづっちは、それらのアトラクションをこなしながら、なぞかけに答えなくてはならない。要するに、「芸人が身体を張って何かに挑戦するドキュメンタリー」という、テレビでお馴染みの手法を用いた作品なのだ。

内容自体はそこそこ面白い。ほぼ全ての企画が二人に投げっぱなし&任せっぱなしになっているので、Wコロン自身に対して少なからず好感を抱いている人ならば、割と楽しめるのではないかと。通常のテレビ番組とは違い、出演している有名人がWコロンの二人だけなので、普段は清廉潔白な笑顔を見せているねづっちが、リラックスしてちょくちょく素の表情を見せていた点もポイントが高い。中でも、滝打ち修行後のねづっちが発した言葉はあまりにも従来のねづっちのイメージを覆したもので、思わず大笑いしてしまった。単なる“なぞかけ”を期待してレンタルした人は、ひょっとしたらドン引きするかもしれないけど。そういう意味では、確かに面白かった。

ただ、ちょっと引っかかったのは、「これをDVDオリジナル作品でやる必要性があったのかな?」という点。というのも、既になぞかけのスペシャリストとして知られているねづっちは、いずれテレビ番組でこういう企画をやらされる可能性があるわけで。それを先にDVDでやってしまうのは、なにやら先に可能性の芽を摘んでしまっている様でちょっと落ち着かないのだ。それならば、彼らがライフワークとして行っている「なぞかけナイト」をDVD化した方が、まだ良かったように思う。それでも、普段は見ることの出来ないWコロンの顔が見られただろうし。そう思いながら、今作の企画者を確認してみたら、Wコロン自身が企画していた。うーん……業界内に向けてのプロモーションとしての意味もあるのだろうか。

(補足:なお、今作は「なぞかけツアー」とは別に、ねづっちによる「なぞかけ講座」も収録されているが、これには特に感想無し。ただ、子どもたちを前に“なぞかけ”で思いっきりスベるねづっちは、なかなか見ものだった)

特典映像には、Wコロンによる漫才と、本編の未公開オフショットを収録。Wコロンの漫才は以前にも観たことがあったのだが、今回久しぶりに観て、当時は感じなかったねづっちのべしゃりの不自然さにちょっと驚いた。あの独特の喋り方はバラエティだとそこそこ活きている様に感じていたのだが、漫才だと、その喋りの“作った感”が浮き上がり過ぎてしまうのだろう。相方の木曽さんちゅうが達者な分、余計に。芸風としてより昇華されるようになれば……。オフショットは……ひょっとしたら、本編よりも面白かったかもしれない。新妻について語るねづっちは面白すぎた。

まとめ。『これでもととのいますか? ~Wコロンのなぞかけツアー~』というタイトルに全く反しない、非常にきちんとした作品だった。内容に疑問を覚えるところもあるけれど、Wコロンが好きな人がきちんと楽しめる内容だったのではないかと。ちょくちょく危険球も飛んでいたけど、それは御愛嬌ということでひとつ。ナレーションはちょっとうるさかったけど。ツッコめばいいってもんじゃない。


・本編(73分)

「ととのいますか?」編:「絶叫マシーンでもととのいますか?」「激辛料理でもととのいますか?」「相方がピンチでもととのいますか?」「寝起きでもととのいますか?」「滝打ち修行でもととのいますか?」

「ととのいました!」編:「小学校の校庭でととのいました!」「ねづっち先生の誰でも出来るなぞかけ講座」「実践編 こどもたちと一緒にととのいました!」

・特典映像(21分)

「TVでは観られないWコロンの貴重な漫才」「メイキング映像」