菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR』

ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR [DVD]ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR [DVD]
(2010/10/27)
ホンジャマカ(石塚英彦恵俊彰)ジュンカッツ(名倉潤・渡辺勝彦)

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ホンジャマカが結成20周年を超過した記念に行ったライブ『“成人”~20周年すぎてました~』。このライブの模様を収録したDVDがリリースされたその日、ホンジャマカはまた別にDVDをリリースしていた。そのDVDのタイトルは『ホンジャマカLIVE '93-'94 JAPAN TOUR』。今から十六年も前に行われたライブを収めたVHS作品二作を、再編集しDVD化した作品である。

今でこそ、お笑いタレントとしてテレビに出演している姿を見かけるのは当たり前になっている二人だが、当時はライブに定評のあるれっきとした芸人だった。そのことは、当時出演していた『タモリのSuperボキャブラ天国』において彼らが“ライブの帝王”というフレーズで呼ばれていたことからも、よく分かる。なお、このライブには、後にネプチューンを結成することになる名倉潤が属するコンビ“ジュンカッツ”も客演として出演。時代の流れを感じずにはいられない。

時代の流れといえば、披露されているコントを見ても、なんとなーく時代を感じさせられるネタが多かったように思う。例えば、一本目の『覚えてないよ』。バス亭でバスを待っている石塚のところに恵がやってきて、まるで知り合いであるかのように話しかけてくるのだが、石塚は恵が誰なのかをさっぱり思い出せない……というコントだ。これとまったく同じ設定のコントを、アンジャッシュが演じていた記憶がある。無論、まったく同じ内容というわけではなく、アンジャッシュの場合は更にもう一捻り加えられた内容になってはいたのだが。また『クイズ王決定戦』というコントは、よゐこの『ストーカークイズ』を彷彿とさせる。どちらも、クイズの回答者自身が問題となっているクイズ番組という設定で、回答者が知らないことまで問題になっているという点も同じ。

どちらも恐らく、意図的にシチュエーションを盗用したわけではない。アンジャッシュよゐこも、わざわざ自分たちよりも有名な先輩芸人のネタから盗用するなどという愚行に出ることはないだろう。つまり、これは偶然にもそうなってしまった、と考えるべきなのだ。同じ様な時代を生きてきた彼らが、その時代の空気を受けて、類似したシチュエーションのネタを作ってしまったのである。……些か強引な気がしないでもないが、そう考えた方が面白いし興味深い。ホンジャマカのコントにも、アンジャッシュのコントにも、よゐこのコントにも、それぞれ通じる時代の風が吹いている。なんだかドラマチックじゃないだろうか。そうでもないか。むう。

でも、僕はそれがなんだか素敵に感じた。だって九十年代初頭といえば、僕はまだ小学生だか中学生で、いわば半人前だった頃。当時、どういう芸人が注目されていたとか、どういう若い笑いが混在していたのか、まったく知らない分からない。だから個人的に、凄く興味深かったし面白かった。ひょっとしたら『“成人”~20周年すぎてました~』よりも堪能した気がする。一部、編集が粗雑過ぎるところがあった点は否めないけれど(ネタの内容に不備があったのか、いきなりカットが入って次のネタに繋がる場面がある)、この頃のお笑いを知っている人、また逆に、当時の空気をまったく知らない人は、けっこう今作のことを楽しめるのではないかと。あと、痩せている石塚英彦が観られるという意味でも、けっこう貴重。いや、痩せていると言っても、客観的に見たらかなり太っているんだけれど。


・本編(80分)

「ブリッジ:朝」「覚えてないよ」「ブリッジ:出勤1」「バカシリーズ」「ブリッジ:出勤2」「会議室~食品メーカー」「会議室~家電メーカー」「クイズ王決定戦」「電話相談室」「ミャンマー君」「呼び出しシリーズ」「ブリトラショップ」「ブリッジ:夜」「出勤父さん」