菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ウッチャンナンチャントークライブ2009 ~立ち話~』

ウッチャンナンチャントークライブ2009~立ち話~ [DVD]ウッチャンナンチャントークライブ2009~立ち話~ [DVD]
(2010/11/10)
ウッチャンナンチャン

商品詳細を見る

2003年9月26日。とある一本の番組が、静かに息を引き取った。金曜日の午後11時から放送されていた同番組は、日々の生活に疲れ切っていたサラリーマンや主婦たちの心を安らかに包み込むかの如く、無意味で緩い内容のロケーションを展開していた。その番組の名はウンナンの気分は上々。」ダウンタウンとんねるず等とともに“お笑い第三世代”として高い人気を集めたお笑いコンビ、ウッチャンナンチャンが自然体でロケに臨む姿を映した同番組は、放送が開始されてからおよそ七年間に渡り、高い人気と確固たる視聴率を獲得し続けてきた。そして、放送が終了した現在に至っても、番組を支持する声は少なくない。

ウンナンの気分は上々。」が放送されていた当時、ウッチャンナンチャンは一つの絶頂期を迎えていた。ある時は司会者としてソツのない進行をこなし、ある時は身体を張った企画に率先して参加し、ある時は番組の企画でCDをリリースしてヒットさせる、そんな時期だった。“社交ダンス部”“未来日記”“30人31脚”など、印象に深く残っている企画も少なくない。ただ、それらの企画の多くは、あくまでも“一番組の企画”として印象に残っているだけで、ウッチャンナンチャンじゃなくてはいけなかった企画というわけではなかったように思う。事実、“社交ダンス部”はほぼナンチャンの独壇場だったし、“未来日記”“30人31脚”に至ってはロケーション映像をウンナンの二人がスタジオで眺めているだけだ。当時の彼らについて、お笑い評論家の西条昇氏は次の様に語っている。「企画を番組の主役にして、自分たちはコメディ・リリーフのように要所要所で軽く笑わせるスタイル」

それらの活動の中にありながら、「ウンナンの気分は上々。」は非常に彼らの特色が表れた番組だった。司会として一つ上の立場から物事を言うこともなければ、コントのキャラクターを演じるでもない。まさに素の状態の彼らが、そこにはあった。それは番組内で放送されるロケーション映像によるところも大きかったが、なにより彼ら二人だけのフリートークの存在が大きかった。お互いの趣味や近況について語り合う二人の姿は、どんな企画よりもシンプルですっぴんだった。

ウッチャンナンチャントークライブ2009 ~立ち話~』は、「ウンナンの気分は上々。」で二人が見せていた素のウンナントークが堪能できる作品だ。彼らのトークライブがDVD化されるのは、2008年にリリースされた『ウッチャンナンチャントークライブ2007 ~立ち話~』以来、二年ぶりのこと。今回収録されているのは、2009年12月26・27日に二日連続で行われたフリートークライブ。なんと、殆ど編集されることなく、二日の様子をガッツリと二枚に分けて収録している。とてつもない気合の入り様だ。

そんな作り手たちの気合に対して、収録されているウッチャンナンチャンのトークは徹底的に等身大。前回のトークライブで行われた書き納めの検証に始まり、ウッチャンが「爆笑レッドシアター」の打ち上げで飲み過ぎて記憶が無くなった話、ナンチャンが家族で目撃した駅のホームのギタリストの話、ナンチャンが面倒なタクシー運転手に遭遇した話など、何の脈絡も無く、ただただ自由に話が繰り出されていた。ただ、ライブの四ヶ月前にウッチャンの実娘が誕生したためか、話の内容は夫婦と子どもの話に偏っている。なかなか興味深い話が聞けたが、中でも印象的なのが、ウッチャンが子どもの人気に嫉妬したという話。芸人として正しいスタンスだと思う。また、今作では、二人による即興コントも披露。最初に設定を提示してそれを継続しようとするナンチャン、キャラクターで強引に押し切ろうとするウッチャン、即興ながらそれぞれのスタンスの違いが垣間見られる、興味深い一幕だった。

そんなウッチャンナンチャンのトークライブが、2010年の今年も行われるという。なんでも今年は三日連続で行われるそうで、一日目には“南原企画”と題してナンチャンと天野ひろゆき(キャイ~ン)が、二日目には“内村企画”と題してウッチャン山崎弘也アンタッチャブル)が、なにかしらかの企画を行うらしい(具体的な内容は未発表)。そして三日目に、ウッチャンナンチャンによるトークライブ“立ち話”が行われる、とのこと。……次回作は三枚組になるのだろうか。


・本編

DISC1(119分+特典映像 4分:トークライブ舞台裏)

DISC2(115分+特典映像14分:トークライブ2008~立ち話~)