菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂(7th Season)

『ハッピーパンダボックス』(本編34分+特典5分)

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(2010/12/01)
パンダユナイテッド

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ワタナベエンターテインメントの若手漫才師、パンダユナイテッドの漫才集。今回の笑魂メンバーの中で最も若手のコンビ。その芸風は、菊地のやや型崩れなボケに対して、石井が軽く面白いツッコミで返すという、やや髭男爵寄りのスタイル。そこそこ完成されている芸風だとは思うが、石井のツッコミが完全にアンガールズ田中のフォロワーになっている点が引っ掛かる(ビジュアルは正反対なのに!)。それでいて、ハライチっぽさもある。要するに、完成されてはいるんだけれど、どれも漠然と見覚えがある。とはいえ、光るモノは見えるコンビなので、今後の活躍に期待。

『言ってみてぇ~っ!!』(本編27分+特典2分)

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(2010/12/01)
今泉

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ワタナベエンターテインメントの漫才師、18KINのツッコミを担当していた今泉によるネタ集。確か、18KINは活動休止という名目だった筈だが、今作のパッケージでは完全にピン芸人扱いされている。相方は何をやっているんだろう。収録されているネタは、テレビでお馴染みの『言ってみてぇ~っ!』の他に一人コントを数本。それらも基本的に一言ネタで、それも哀愁漂う自虐ネタばかり。そんな今泉の芸風はいとうあさこやゆってぃと比較されがちだが、こうして見ると明らかに違うことが分かる。いとうやゆってぃの自虐は開き直りの自虐だが、今泉の自虐は諦めの自虐なのだ。あの場所には届けない、届くことが出来ない……そんな諦めの渦が、彼の芸から滲み出ている。だが、その哀愁が、彼の不器用な芸をよりいっそう深淵へと近付ける。エンドロールでは、今泉による吉田拓郎っぽいオリジナルソングが流れる。最後まで、とことん哀愁。

『穴を掘る人』(本編34分+特典9分)

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(2010/12/01)
エルシャラカーニ

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サンミュージックの漫才師、エルシャラカーニの漫才集。今回の笑魂メンバーの中では最もコンビ歴が長く、1997年に結成された。以前から独特の漫才を演じているコンビではあったのだが、ここ数年は山本しろうが漫才の筋道とまったく関係のない話を続ける“脱線漫才”というスタイルで注目されているらしい。今作に収録されている漫才も、やはり“脱線漫才”が主。このスタイルの漫才をきちんと観たのは今回が初めてだったのだが、脱線するという割にはきちんとボケ・ツッコミの関係性を成立させているくだりもあって、ちょっと作りが甘い印象を受けた。むしろ印象的なのは、恐らく彼らが“脱線漫才”を編み出す前に作っただろうネタ。中でも、「爆笑オンエアバトル」でも披露していた漫才『ハトがこーなったとこを見た漫才』は、当時と変わらずムチャクチャな内容でニヤニヤしながら観た。2009年にナイツが『21世紀大ナイツ展』という“ヤホー漫才”以前のネタを再演したDVDをリリースしているが、今作はそれのエルシャラカーニ版と言えるかも。特典には、某カーペット番組のネタ見せで見事に落選したネタや、某エンタに出たいから作ったネタなどを収録。

『トップリードのコント集』(本編39分+特典11分)

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(2010/12/01)
トップリード

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太田プロのコント職人、トップリードのコント集。初期の「笑撃!ワンフレーズ」にてMCの千原ジュニアに「あのトップリードですよ!」と知名度の低さをイジられていた彼らだが、コンビ結成は1998年とそこそこ年季が入っている。そんな彼らのコントは、なかなか特殊。例えば、雨降りの最中に沢山の荷物を持って建設予定地を見に行ったり、あまりにも狭くて注文の度にドタバタしてしまうラーメン屋に入ったり、友だちがせっかちにどんどん先へ行っちゃったり。そんな特殊なシチュエーションやキャラクターが、きちんと丁寧に笑いへ昇華されていく巧みさ。この作品を観て、改めて「どうして彼らの初単独がDVD化されなかったんだ!」と思わずにはいられない。特典に収録されている『雨男』(初単独で披露されたコント)の出来を見ただけでも、いいライブだったってことが分かるぞ。今からでも、どうにかならないのかな。

『PS ヒゲとメガネとシャツとネクタイ』(本編35分+特典1分)

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(2010/12/01)
ピーマンズスタンダード

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松竹芸能の若手漫才師、ピーマンズスタンダードのネタ集。二人の漫才・コントで謎の韓国人バックダンサー「アイヒマンスタンダード」のピン芸を挟み込む構成になっている。個人的に彼らが凄いと思うのは、ごく普通の漫才に「もやもやする!」というツッコミを加えることで個性を見出したところ。無論、ネタとしても面白かったからこそ、成し得たことではあるのだが。そんな彼らのネタは、松竹芸能特有のベタ笑いを下地としており、非常に安定感がある。今作では、やや過剰な下ネタに頼り過ぎていたところも見えたが、それでも滞りなく笑えるネタばかりだったように思う。個人的には、謎の東洋人が妻とナニすることを宣言するコントが、あまりにヒドくて面白かった。完全なる変態だ……!