菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

エレ片コントライブ『コントの人4』

エレ片コントライブ ~コントの人4~ [DVD]エレ片コントライブ ~コントの人4~ [DVD]
(2010/12/15)
エレキコミック片桐仁

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キングオブコント2010」決勝の舞台に進出するも、他の追随を許さない最下位という結果を残してしまったエレキコミック。他の出場者が殆ど後輩だったこともあって、最近は“八位先輩”などと呼ばれているらしい。なにやら有難くない呼称だが、とりあえずネタに昇華されているのは喜ばしいことである。どんどんネタにしてもらって、じゃんじゃん笑いに変え、来年行われるだろう「キングオブコント2011」決勝の舞台で、美しきリベンジを決めてもらいたいものである。彼らには、それだけの実力がある。

そんなエレキコミックラーメンズ片桐仁と一緒に行っているユニットエレ片コントライブ「コントの人」が、またも開催された。聞いたところによると、2007年から年に一度のペースで開催されているらしい。エレキコミックは自身の単独ライブも行っているというのに、よくこのペースを崩さずにいられるものだ。昨年に至っては、二度の単独ライブに加えて「コントの人」の公演を行っていた。かねてより舞台でのコントを重要視していた彼らだが、特にここ数年は以前にも増してコントに対し力を入れている様に感じられる。八位という結果に至ったとはいえ、彼らが「キングオブコント2010」決勝の舞台に立つことが出来たのは、その成果と言えるのかもしれない。

第一回から常に高クオリティのバカコントを提供している「コントの人」。今作には2010年夏に行われた最新の公演が収録されているが、そのクオリティはまるで下がることなく、むしろ以前にも増して勢いづいているように感じられた。舞台の前説も兼ねているフィッシングコント『主』を皮切りに、いい奴なのになんだか釈然としない実在の友人をコント化した『帰らないいやつ』、実際に見かけたストリートミュージシャンをモデルとしたブサイクコント第二弾『シトラスラベンダー2』、「コントの人」ではお馴染みのちょっと感動できる青春コント『波の数だけときめいて』など、どれもこれも秀逸なコントばかり。

中でも大笑いさせられたのは、『BAD』というコント。その内容は、グリーン車に乗っている片桐(本人役)に気付いた修学旅行生たちが、「マイケル・ジャクソンさんですよね?」と迫り続けるというもの。まず、片桐がマイケル・ジャクソンにまったく似ていないのに、そう思われてしまうというシチュエーションが面白い。また、片桐をマイケル・ジャクソンであると完全に信じ切っている学生たちの、悪い意味での純粋さが面白い。まるで疑いを持たないところが、もうたまらない。そして、片桐をマイケル・ジャクソンだと思い込んでいるにも関わらず、片桐に対する修学旅行生たちのアクションが乱暴なのが面白い。あの年頃の子どもが有名人を見つけたらするだろう行動を、マイケル・ジャクソン(と思われてしまっている片桐)を相手にやっているのだと思うと、もうたまらなく面白い。これまでの「コントの人」における、オープニング映像後のコントは僕のツボにハマることが多かったのだが、今回も見事にハマった。このネタはちょっと観てもらいたい。

大笑いできるという意味では、もはやラーメンズエレキコミックのコントよりも面白いコントを演じられるようになってしまったエレ片。それが良いことなのか悪いことなのかは分からないが、とりあえず一視聴者としては笑えて満足である。片桐仁エレキコミックの二人を地元に案内する映像宮代町外交官・片桐仁の観光案内」に、三人によるオーディオコメンタリーと、特典も充実。エレ片を知っている人は勿論、知らない人にも是非一度試してもらいたい一品だ。……あ、知らない人はやっぱり第一弾『コントの人』からどうぞ。シリーズコントもあるので。


・本編(93分)

「主」「オープニング」「BAD」「一号二号」「帰らないいやつ」「シトラスラベンダー2」「おばけ役者」「波の数だけときめいて」「エンディング」

・特典映像(13分)

宮代町外交官・片桐仁の観光案内1」「宮代町外交官・片桐仁の観光案内2」

・副音声

エレ片3人によるコント解説