菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『NON STYLE NON COIN LIVE inさいたまスーパーアリーナ』

NON STYLE NON COIN LIVE in さいたまスーパーアリーナ 初回盤 [DVD]NON STYLE NON COIN LIVE in さいたまスーパーアリーナ 初回盤 [DVD]
(2011/03/09)
NON STYLE

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NON STYLEによる無料ライブがさいたまスーパーアリーナで行われることが発表された当時、そのことに対して嫌悪感を表している人がいたことが、強く記憶に残っている。その人によると、さいたまスーパーアリーナはお笑いライブを行うにはあまりにも大きすぎて相応しくない、それなら全国のライブ会場を回って地方のファンと触れ合うようにした方がファンのためになる、とのことだった。確かに、その人がいうことは正しいのかもしれない。彼らを愛するファンの気持ちを優先するのであれば、全国の会場で無料ライブを行うべきなのだろう。

だが、そもそもこの無料ライブが行われる要因となった、「S-1グランプリ2010」で獲得した優勝賞金1億円の使い道としては、それは些か地味過ぎるのではないかという気もする。そもそもNON STYLEは、過去に何度か全国ツアーを展開している。ファンとのふれあいという意味では、既にそれをやっていると言っていいだろう。それならば、一つの記念として、或いは一つのお祭りとして、こういうライブを行った方が面白いのではないかと思ったのだが。今やその方との付き合いも無くなって、全ての関係は過去の存在となってしまった。今となっては、もっと僕が器用だったら、もうちょっと素晴らしい関係を築けたのではないかと、少し反省している。……今更、何をおめおめと。

閑話休題

とにもかくにもNON STYLEによる無料ライブは無事に行われて、こうして作品として形が残されることになった。そこには、通常の単独ライブではありえない会場、ありえない客数、ありえない装置を相手に奮闘するNON STYLEの姿が映し出されている。ライブの構成は、彼らが手にした1億円を巡って巻き起こる騒動を描いたコントを、新ネタ漫才で挟み込む形式を取っていた。元来、NON STYLEはタレントとしてよりもネタ職人としての趣が強いコンビではあるが、いずれのネタも相変わらず完成度が高い。予想されていた通り、会場の広さが少なからずネックとなってはいたものの、彼らの良さを堪能できる作品であることには違いない。

中でも圧巻だったのが、幕間映像を挟むことなく自身のベストコレクション漫才を一気に披露する一幕。以前に観たことのある古いネタばかりだったが、ベストというだけのことはあって、どのネタも非常に面白い。今となっては懐かしい「しんにょう」「パウエル」「このハッピー野郎」などのワードも飛び出し、これだけでもかなり満足感が得られた。ネタごとに巨大モニターに映し出される背景が変わるのも、いいアクセントである。

ただ、どうしても触れておかなくてはならないのが、本編の長さだ。本編の収録時間は、なんと196分。しかも、本編の長さに合わせているのか、コントも些か冗長だった様に思う。人の集中力が保たれる時間の限界は分からないが、僕は本作を鑑賞する際に何度も何度も何度も何度もうたた寝をしてしまった。お笑いDVDを観ながら眠ってしまったのは今回が初めてではないが、ここまで破壊力(もとい睡眠力)の強い作品は初めてである。……まあ、そういう点を含めての、一つのお祭りだといえなくもないのだが。軽く笑いたいという人には、あまり向いていない作品と言わざるを得ない。

とはいえ、これまでNON STYLEを支持し続けてきた人ならば、間違いなく買いな一品である。大手インターネットサイトamazonでは、本作の初回盤(安価)の在庫が残っているみたいなので、まだ手にしていないファンは早く手元に置いておいた方がいいかもしれない(リリースから半年も経ってるから、大抵のファンは既に購入済か?)。


・本編(196分)

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・特典映像(44分)

「NON COIN LIVE メイキング映像」

「吉川さんの真実~そりゃだめだよ吉川さん~」