菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『COWCOW CONTE LIVE4』(850字)

COWCOW CONTE LIVE 4 [DVD]COWCOW CONTE LIVE 4 [DVD]
(2011/08/17)
COWCOW

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COWCOWコントライブを収録したシリーズ第四弾。2008年から年に一度のペースで発売され続けている同シリーズだが、そのクオリティは常に安定し、ファンの期待を決して裏切らない。ポップでユニークな世界観において、堅実に構築されている笑いのメカニズム。だからこそ、COWCOWのネタは確実に的中する。“劇場番長”というキャッチコピーは伊達じゃない。近年、その実力が世間にも認められ始めたのか、本作に収録されているネタには見覚えのあるものも多い。

例えば、女子アナウンサー・カシパンが早口言葉を五段階の難易度別にしてレクチャーする山田興志のピン芸『カシパンの早口言葉』は、R-1ぐらんぷり決勝戦で拝見した。また、当たり前のことを紹介するだけの体操を演じる『あたりまえ体操』は、「あらびき団」で披露されているのを見たことがある。かなり反響があった様で、MCの二人が高く評価していたことが強く記憶に残っている。また、迷信が生まれるまでの行程をロックで歌い上げる『アイアンメイシン』は、本作発売後に放送を開始した「バカソウル」の定番ソングだ。ネタで堅実に笑いを獲り続けてきた彼らは、テレビにおいてもはやり堅実に人気を集めているようである。そういえば、本作を鑑賞中、子どもの笑い声が何度も響き渡っているのを確認した。この子どもたちがやがて大人になり、COWCOWを求めるようになれば……それはいずれ、彼らの財産になるだろう。

個人的には『鍋奉行』が印象に残っている。その内容は、山田扮するほんこんが、新婚ホヤホヤの多田を自宅に招いて鍋奉行ぶりを発揮する、というもの。ネタが始まった当初は、山田によるモノマネを中心に、ほんこんがいかにも口にしそうな言い回しを用いて展開していくだけのコントだと思っていたのだが、それらの言い回しがまったく違う意味へとスライドされ、最終的には実におぞましいオチを迎えてしまうのである。勿論、笑える。笑えるのだが、実に恐ろしいオチであった。老若男女に受け入れられる芸風の持ち主、COWCOWの闇を見た気がした。嘘だけど。


・本編(89分)

「アイアンメイシン」「僕らの時代」「接待しりとり」「ゼロの使者」「映画館」「漫才」「カシパンの早口言葉」「鍋奉行」「先輩」「研究室」「あたりまえ体操」「漫才2」

・特典映像(74分)

「ブリッジ映像」「前回大好評だった「ネタ宅配」の2011年版を収録!」