菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『陣内智則ワールドツアーin韓国 NETAJIN』(850字)

陣内智則ワールドツアーin韓国 NETAJIN [DVD]陣内智則ワールドツアーin韓国 NETAJIN [DVD]
(2011/11/30)
陣内智則

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ジャルジャルがイギリスでコントライブを行ったのは、2010年6月のことだった。ライブの開催が報じられた当時、私はジャルジャルの不可思議な芸風が世界でどのように反応されるのかが非常に楽しみにしていたが、実際にその模様を収録したDVDを観ると、動きによる表現に偏った内容になっており、些か残念に感じた記憶がある(その後、彼らが改めてロンドンでライブを行った際には、字幕を配備して原語の壁を少しでも薄めようとと試みていたが)。それから一年後の2011年6月。ジャルジャルに続いて、陣内智則が海外でのコントライブを開催した。舞台は韓国。近くて遠い日本の隣国において、陣内の笑いは通用するのか。

結論からいうと、通用する。何故ならば、陣内のコントは主に映像で見せるもの、つまり視覚に訴える笑いだからだ。それは、ジャルジャルが初のロンドン公演で、動きを重視したコントを多く演じていたことと無関係ではない。それを認識できる程度の差はあるだろうが、それは日本も同じだ。また、陣内のネタに、自己表現としての側面が薄かったのも大きい。バッティングセンター、防犯カメラ、テレビゲーム、卒業式……そこに映し出される日常的な風景で展開される、ベタでオーソドックスな笑い。想像の余地を与えないド直球の映像ボケは、だからこそ、その核となる部分を包み隠さず観客にぶつける。故に、陣内の笑いは、国境を越えるのだ。

本作には、陣内がその芸人としての手腕を如何なく奮っている姿が収録されている。時に自らが韓国語を用いて、時に韓国語の字幕を用いて、そのコントを現地の人々へと伝えようとしている陣内の姿は、テレビで「浮気したからや!」と叫ぶ姿からは想像できない、れっきとしたコント師の姿であった。……後に、観客の多くは日本から来たと発覚するのだけども。惜しむらくは、韓国公演の様子は本編の半分だけで、残り半分は日本での凱旋ライブでの様子を収録している点。そこは全編、韓国公演にしてもらいたかった。だが、陣内のベストコントを堪能できる、純粋に面白い一作である。


・本編(88分)

「オープニング」

韓国公演:「韓国語講座」「バッティングセンター」「オウム」「防犯カメラ」「ゲームセンター」「羊が一匹…」

日本凱旋ライブ:「卒業式」「どこまでもいっしょ」「物売り屋さん」「ユニットコント「劇団チューリップ」ヒーローショー(ゲスト:すっちー、ジャングルポケット)」

「エンディング」

・特典映像(22分)

「陣内が行く韓国ぶらり旅」「ガン・ジファン×陣内智則スペシャルトーク」