菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

しずる『POWER×POWER DVD』(850字)

しずる POWER×POWER DVDしずる POWER×POWER DVD
(2011/12/14)
しずる

商品詳細を見る

仁王立ちで遠くを眺めている村上と、座りこんで俯いている池田。村上は、嬉しそうに遠くの景色を眺めている。「やっぱり温泉にして正解だったなあ……」。二人は友人同士で、この日は温泉旅行にやって来たのだ。ところが、そんな村上に対して、池田は表情を曇らせたままだ。思わず、村上も「せっかくの旅行だぞ、お前」と、池田のことを嗜める。しかし、その後の池田の発言で、事態は一変する。二人はじゃんけんで温泉旅行とスキー旅行のどちらに行くかを賭け、池田が勝利したために、温泉旅行へとやってきた。それなのに……「お前、なんでスキーウェアで来んの!?」。

その後も生々しい嫌がらせが繰り広げられるコント、『勝った友達×負けた友達』で幕を開ける本作。その後も、志願者の心の声に何者かが侵入する『面接官×志願者』、“だるまさんがころんだ”に合わせて中年男性の転落人生を描く『子供×おじさん』、写真を応募して獲得した賞金をかけて心理戦が繰り広げられる『撮った友達×応募した友達』など、実に多種多様なネタが展開されているのだが、そこには常に独特の緊張感が張り詰めている。まるで、「爆笑レッドシアター」等の番組で彼らのことを知った、生半可なファンたちを篩にかけているかのようだ。

何故、しずるのコントには緊張感があるのか。その原因は、彼らのコントの根底に、人間を冷笑する姿が見え隠れしているためだろう。それ故か、彼らのコントを見ていると、やはり愚かな人間を描いていたバナナマンを彷彿とさせる。しかし、世に出始めた時点で、既に圧倒的な世界観を持っていたバナナマンに対して、しずるの世界はまだまだ未熟だ。本作に収められているのは、いわばその途中経過といえるだろう。いずれ貴重な記録として、懐古される日も来るかもしれない。

なお、特典映像には、池田による草津・軽井沢ツアーの模様が収録されている。同期の芸人たちを案内しながら、各所で手痛い目にあっていく池田の姿は、早くもイジられキャラとして圧倒的な存在感を放つバナナマン日村の後継者を思わせた。


・本編(74分)

「勝った友達×負けた友達」「友達×友達」「面接官×志願者」「男×男」「子供×おじさん」「撮った友達×応募した友達」「プロ×新人」「男×ヤツ」「先輩×後輩」

・特典映像(70分)

池田一真PRESENTS!草津・軽井沢ツアー!ツアー!!」

「トレーナー×ボクサー」

「池田 vs 4台のカメラ」

・副音声

「池田・母と村上・母による本編副音声を収録!2人の母がしずるを語る!!」