菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

桜 稲垣早希 ツアーDVD『桜 稲垣早希ネタイヴェント新劇場版:九 ~YOU CAN(NOT)MAKE A GOAL~』

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(2012/03/14)
稲垣早希

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ロケみつ ロケ×ロケ×ロケ」という番組が人気を集めているらしい。私は見たことがない。若手芸人にロケを強いる番組というだけで、見る気になれない。とどのつまりは、「電波少年」のフォロワーだろう。とてつもなく過激で無謀なロケ番組「電波少年」を思春期に体感した私にしてみれば、そんなものを見る必要はない。だから、見たことがない。そのため、番組で人気を集めているという桜 稲垣早希のことも、「ロケみつ」に出演しているエヴァ芸人としてではなく、かつて“桜”というお笑いコンビを組んでいた女性芸人として認識している。そういう意味では、私は本作の真髄ともいえる部分を、きちんと汲み取れずにいるのかもしれない。まあ、さほど気にしなくてはならないというほどのことでもないだろうが。

本作は、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の登場人物の一人“惣流・アスカ・ラングレー”のモノマネで知られている桜 稲垣早希が、2011年に敢行した全国ツアーの模様を収録したものである。タイトルに“ネタイヴェント”と表記されているため、コントや漫談のような演目を中心に収めた作品になっている……と、誰もが思うだろうが、実際は違う。恐らくネタの大半が版権の問題で収録できなかったのだろう、本作は全国ツアーの裏側を映したドキュメンタリーを中心に展開、その随所に会場で披露されたネタや幕間映像を挟み込む構成を取っている。純粋なネタライブを期待していたファンには、とんだ肩透かしだろう。このドキュメンタリーもなかなかのクセモノで、稲垣が全国ツアーの合間に行方不明の姉を探したり、開幕の直前に稲垣の衣装がビリビリに引き裂かれるハプニングが発生したり、演出担当者が謎の外国人男性だったり……なんとも下らないフェイクドキュメンタリーとなっている。ただでさえ肩透かしを食らっているファンにしてみれば、この下らなさは逆鱗に触れられたようなものだろう。事実、amazonでの評価も低い。だが、さほど彼女に興味を持たない私個人としては、それなりに楽しめた。本数が少ないとはいえネタがきちんと収録されているし、下らなかったとはいえフェイクドキュメンタリーの出来も決して悪くはなかった。羊頭狗肉であることは否定できないが、まずまずの出来だったといってもいいだろう。

とはいえ、ライブ映像のクオリティを考慮すると、もうちょっとネタを収録してもらいたかったかな……という気持ちは残る。三石琴乃によるオープニングナレーションを初めとして、アスカのシンクロ率漫談、朝倉南のノリが80年代で止まっている漫談、アスカがスーパーマーケットのアルバイトとしてゲスト芸人を接客するコントなど、いずれも安定してクオリティが高かった。中でも、ライブの幕間に流れたという、碇シンジのグルメレポートは最高の出来映え。アニメ本編のパロディが散りばめられた、素晴らしきバカVTRである。次こそはライブ全編の収録を、どうにか……!


・本編(128分)

「オープニング」「ネタ アスカのシンクロ率」「11/1 大阪公演」「11/14 広島公演」「11/16 新潟公演」「深夜のリハーサル」「ネタ 朝倉南漫談」「11/27 名古屋公演」「秘密の会合」「VTR 碇シンジの場合」「11/29 熊本公演」「VTR 『ロケみつ』超未公開映像」「稲垣妄想デート」「12/4 東京公演」「ネタ スーパーアスカ」「エンディング」

・特典映像(29分)

稲垣早希妄想デート 完全版」「ツアードキュメント未公開映像集」

「『ロケみつ』アナザーストーリー」「アスカVSレイ漫才」

・副音声

麒麟川島による鬼のダメ出し副音声