菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN』

横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN [DVD]横須賀歌麻呂 CODE NAME YARI-MAN [DVD]
(2012/06/01)
横須賀歌麻呂、のい 他

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横須賀歌麻呂。一言でいえばバカである。「芸人なんて仕事をやってるヤツぁ、全員バカだ!」という有識者の意見もあるだろうが、横須賀のバカさは他の芸人の追随を許さない。例えば、ラーメンズだとか、バナナマンだとか、バカリズムだとか、そういう才能溢れるコント職人とは決して同列に出来ない。完全なるバカである。でも、ここでいうバカとは、決して侮蔑の意味を含んではいない。むしろ、称賛の意味をもたせている。なんなら、“漢”の字にルビで“バカ”と入れていると思ってもらっても宜しい。横須賀は、そういうタイプの芸人だ。

でも、だからといって、DVDを出す必要があったのか。いや、出すなとは言わないし、なんならこのDVDで彼のことを知ったのだから、存在意義はあるのだろう。だが、しかし、それにしたってどうなんだ。売れるのか。売れているのか。売れると見込んで販売に及んだのか。全ては謎である。

横須賀歌麻呂のネタは、基本的に一人コントである。絶対にテレビで見ることは出来ないだろう、一人コントである。もし、テレビで放送するとしたら、モザイクとピー音まみれで何をヤっているのかイっているのかワケが分からないことになってしまうだろう。とにもかくにも、酷い。下ネタしかない。こちらが画面から目を放した隙に、腰を振っている。前後にユッサユッサしている。なんなら、目を離していない時にも、腰を振っている。全盛期のHGよりも振っているかもしれない。腰を振っていない時は、股を開いている。無論、力士の様に開脚しているのではない。女性になりきって、股を開いている。で、揺れている。こちらも前後にユッサユッサしている。その状態で口にする言葉も凄い。「挿れて」「出して」などの匂わせる程度の言葉はいうまでもなく、生殖器の名称もバンバン飛び出す。その姿はまさに、青春真っ盛りの中学生のよう。

ただ、横須賀歌麻呂のネタは、中学生の下ネタとは一線を画している。一般的に、下ネタは安直に笑いを取るために使われやすいが、横須賀のネタはそれをきちんと笑いの方程式に組み込んでいる。笑いのツボを心得た上での下ネタなのである。そうして見ると、実は横須賀がお笑い芸人としてテクニシャンであることが分かる。ただスゴい女とセックスをしたというだけの話を、例えを用いながら説明する『昼休み』の言語センスには恐れ入った。また、コントの内容でも横須賀は魅せる。『カマキリの雄が雌に交尾中に食べられてしまうように人間の男が女にセックスの最中に食べられてしまう世界のコント』は、タイトルの安直さに対し、童貞が命がけでAV女優とセックスしようとする迫力が凄まじい名作であった。

横須賀歌麻呂の魅力をグッと詰め込んでいる本作は、「鳥居みゆきが売れたんだから、横須賀歌麻呂が売れる可能性もゼロじゃないんじゃないか?」などということを、一瞬でも思わせてくれる。いや、騙されたと思って、一回観てみろって!


・本編(120分)

「不動産屋」「お昼休み」「カマキリの雄が雌に交尾中に食べられてしまうように人間の男が女にセックスの最中に食べられてしまう世界のコント」「10秒に1度ボケをかまさないと死んでしまう男」「ダークネス・エンジェル」「セックス屋」

・Special Extra Contents「テロ対策特別捜査官 横須賀歌麻呂」

「3:00 p.m. and 4:00 a.m.」

「4:00 p.m. and 5:00 a.m.」