菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

「U-1グランプリ CASE04 『宇宙船(スペースシップ)』」

U-1グランプリ CASE 04 『宇宙船』 [DVD]U-1グランプリ CASE 04 『宇宙船』 [DVD]
(2012/12/19)
マギー、池谷のぶえ

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菅家です。元ジョビジョバリーダーのマギーと、『33分探偵』『コドモ警察』『勇者ヨシヒコシリーズ』などの傑作ドラマを世に送り出し続けている福田雄一の両名によるワンシチュエーションコントユニット“U-1グランプリ”の最新作が、先日リリースされました。これまで【取調室】【厨房】【職員室】などのシチュエーションで数々のバカコントを繰り広げてきた彼らですが、今回の舞台は【宇宙船(スペースシップ)】。初めての非現実的なシチュエーションを舞台に、彼らがどういうナンセンスコントを繰り広げてくれるのか、非常に楽しみにしながら鑑賞したのですが……正直なところ、本作はこれまでの作品と比べるとちょっとパンチが弱いように感じました。

その原因は、宇宙船を舞台にしているにも関わらず、ド直球のSF的シチュエーションを取り入れたコントがほぼ皆無に等しかったからだと思われます。例えば、宇宙船の乗組員の大半がおばさんという安直なギャップを笑いにしていたり(『OBASUNの宇宙』)、ムチャブリの趣が強かったり(『無重力中継』)、典型的な自主規制コントでしかなかったり(『敏腕プロデューサー』)、単なる昼ドラのパロディだったり(『LOST IN SPACE』)……全体を通して、どこか宇宙船というシチュエーションに手を焼いている印象を受けました。結果、どれもこれもとにかく薄味で、過去の公演では箸休めとしての意味合いが強かったマギーと福田雄一による超絶バカコント(『アトム』)が、今回に関しては最も面白いという異例の事態に。はっきり言って、不甲斐無いクオリティだったと言わざるを得ません。

……とはいえ、私が本作に対して非常に辛辣な印象を受けたのは、同様に宇宙船を舞台とした海外のコメディドラマ『宇宙船レッドドワーフ号』に並々ならぬ思い入れがあるからなのかもしれません。限られた出演者が宇宙船という閉鎖された空間の中で繰り広げるSF的にバカバカしいやりとりを描いた『宇宙船レッドドワーフ号』は大変にクオリティの高いドラマで、それと同様の面白さを本作に対して無意識のうちに期待していた感は否定できないでしょう。しかし、それだけの期待を寄せるのも、近年における福田雄一の活躍ぶりを思えば、仕方がないことではないかという気もします。だから、ひょっとしたら、何の前知識も持たずに本作を鑑賞される方であれば、まったく不満を覚えることはないかもしれません。

ちなみに、シチュエーションと同様に出演者も毎回変わっているU-1グランプリですが、今回は、レギュラーであるマギーと福田雄一に加え、池谷のぶえ高橋真唯坂田聡ジューシーズが参加しています。それぞれがそれぞれの持ち味を存分に発揮していますが、中でも、池谷のぶえの圧倒的な存在感と高橋真唯の圧倒的な可愛さは必見です。


■本編(106分)

「OBASUNの宇宙」「opening」「来襲!博多めんたい星人」「無重力中継」「敏腕プロデューサー」「『マッコリー大佐の大宇宙演説』」「宇宙体操第一」「ヒストリー」「アトム」「CA・八田メグ」「『LOST IN SPACE』」「宇宙体操第二」「ending」

■副音声

福田雄一とマギーによるコメンタリーを収録