菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

バイきんぐ『King』

バイきんぐ「King」 [DVD]バイきんぐ「King」 [DVD]
(2012/12/26)
バイきんぐ

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キングオブコント2012』覇者、バイきんぐのベストネタを収録したライブDVD。60分という決して長くはない収録時間に、バイきんぐのベストネタ、芸人仲間たち(ハリウッドザコシショウ・錦鯉)による彼らのエピソードトーク、キングたる二人へのインタビューが凝縮されている。とはいえ、その内容に対して、物足りなさを感じることはない。むしろ。60分ですら長く感じられる。

収録されているネタは、『キングオブコント2012』決勝戦の舞台でも披露された『卒業生』『帰省』を含んだ全10本のコント。しかし、この2本が突出しているわけではなく、どのネタも非常に完成度が高い。どこを切っても濃厚で、後には強烈な印象を残る。若手芸人の登竜門番組『オンバト+』で披露されたネタが多く、個人的には見覚えのあるコントも幾つか。それでも、決して既視感を覚えないのは、特殊な状況を堅実に活かした西村のボケ、そのボケを時に超越するほどの天才的切り返しを見せる小峠のツッコミ、両者の地力の強さが故のことだろう。

ウェイターのメニューに関する質問が無間地獄の如く終わりを見せない『ファミレス』、強盗の襲来にまったく驚こうとしないコンビニ店員に隠された驚愕の真実とは?『コンビニ』、自室でギターをかき鳴らして自作の歌を熱唱するミュージシャン風の男の元に現れた隣人が思わぬ言葉を口にする『隣人』など、どのコントもパワフルかつエネルギッシュ。だが、中でも印象に残るのは『面接』というコント。西村扮するコンビニバイト志望者のナチュラルな破天荒ぶりに、少しずつ魅力を感じ始めていく店長の小峠、そして二人は……両者の関係が驚くべき形で引っ繰り返ってしまう展開は、まるでサスペンスドラマの様にスリリングだ。また、普段はツッコミ側に立っている小峠がボケ側に転ずるコント『ふんわり名人』も、見逃してはならない一本だろう。チンピラ風のキャラクターが被さっているとはいえ、小峠が普段のトーンでボケを演じている様はなかなか稀少である。

特典映像には、本作のテレビCMとその撮影風景を収録。オチの台詞を任されたことによるプレッシャーに潰されそうな小峠の姿は、これまた稀少だ。また、この特典映像では、実際のCMでは使われなかったオチを観ることも出来る。小峠が必死に悩んだ挙句に繰り出したにも関わらずボツとなったオチが、どのようなものだったのか。ニヤニヤしながら、確認していただきたい。


■本編(60分)

「本番前の楽屋」「卒業生」「バイきんぐの昔って?」「ファミレス」「面接」「コンビニ」「小峠ってこんな人」「隣人」「交通量調査」「セールスマン」「西村ってこんな人」「ふんわり名人」「処方せん」「バイきんぐのお2人が暇そうなので「King」として色々聞いてみた」「帰省」

■特典映像(4分)

「「King」テレビCM」「「King」テレビCMの裏側」