菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『bananaman live TURQUOISE MANIA』

bananaman live TURQUOISE MANIA [DVD]bananaman live TURQUOISE MANIA [DVD]
(2012/12/19)
バナナマン

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『bananaman live TURQUOISE MANIA』を観る。

バナナマンは1993年に結成されたコントユニットだ。メンバーは、渡辺正行の運転手をしていた設楽統と、お笑いコンビ“陸上部”を解散したばかりだった日村勇紀。結成当初からダウナーなコントを作っていた彼らは、なかなかテレビのバラエティ番組で取り上げてもらう機会を得られなかったが、『内村プロデュース』への出演をきっかけに少しずつ露出を増やしていく。その結果、現在は数多くのレギュラー番組を持つ実力派として活躍、次世代を担うお笑いコンビとして注目が集まっている。かつてのアングラな雰囲気はどこへやら、今や押しも押されぬ売れっ子だ。

『TURQUOISE MANIA』には、バナナマンの二人が2012年8月2日から5日にかけて俳優座劇場で開催した単独ライブより、4日の模様が収録されている。タイトルに使われている“TURQUOISE(ターコイズ)”とは、トルコ石のこと。“第三のバナナマン”とも言われている、放送作家・オークラの誕生石から付けられたといわれている(オークラは12月10日生まれ)。ちなみに、2010年の単独ライブ『DIAMOND SNAP』は設楽の誕生石から(4月23日)、2011年の単独ライブ『emerald music』は日村の誕生石から(5月14日)、それぞれ付けられている。なんだかちょっとロマンティックですね。

本作に収録されているコントには、“異国”をイメージさせるものが多い。

例えば、旅行先でズレたガイドの案内に辟易した観光客が数々の事件に遭遇する『THEOMAN ISLAND』や、ハワイ行きの飛行機を待っている二人が「このやわらかいボールを顔にぶつけたら痛いか痛くないか?」を確認しようとしたりしなかったりする『Killing time』などは、そのまま異国旅行のシチュエーションを描いているし、喫茶店で別れ話を切り出している男女のドタバタ騒動を描いた『喫茶Turquoise』には、男に別れを告げられた女性を愛する情熱的な異国の人が登場する。そして、よくよく確認してみると、本作のオープニング曲のタイトルは『トルコのバナナマン』(星野源)。以前から、彼らは異国を舞台としたコントを何度か演じていたけれど、今回はその要素が特に強調して描かれていた様に思う。

バナナマンと異国といえば、テレ朝動画で配信されている『バナナTV』(2011年12月17日配信開始)のことを思い出さざるを得ない。『バナナTV』は、バナナマンの二人が世界をまたにかけて、各国のエンターテインメントに挑戦する旅番組だ。もしかしたら、番組を通じて世界旅行の楽しさを覚えた彼らの経験が、このライブに反映されているのではないだろうか……と読んでみたが、どうだろう。ちなみに、ライブのエンディング曲は、同じく星野源による『日常』。旅の終わりに日常へと帰るとは、なんともシャレている。

なお、コントの幕間には、実際にライブで使用された映像が収録されている。以前は大喜利テイストの強い映像も幾つか見られたが、今回はとにかく素の彼らにクローズアップ。日村が設楽に「明日の12時に俺が何か言うから、そしたら「車いす」と返してもらいたい」と注文されてから、実際に「車いす」と言うまでの模様をドキュメンタリータッチで描いた『日村は「車いす」と答えることができるか?』、雑談に興じている二人がふと発見した不思議なモノの正体とは?『何コレ?』など、いずれも二人の素の姿を楽しむことが出来る映像ばかりだ。……但し、『日村は炭酸水を2秒で飲めるか?』を除いて。タイトルそのまんまの挑戦をやっているだけなのだが、色んな意味で凄いことになっている。鑑賞の際は食事時を避けるように、お気を付け下さい。

あ、あと今回の赤えんぴつ、熱いよ。


■本編【104分】

「Excited」「オープニング曲『トルコのバナナマン』」「THEOMAN ISLAND」「絵描き歌」「喫茶Turquoise」「日村は「車いす」と答えることができるか?」「Killing time」「何コレ?」「赤えんぴつ」「日村は炭酸水を2秒で飲めるか?」「Where my wife is」「エンディング曲『日常』」