菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

「世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン」(2012年8月22日)

世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン [DVD]

世界鳥居紀(奇)行 IN サイパン [DVD]

 

鳥居みゆきの海外ロケーション企画DVD第二弾。前作ではエキゾチックなタイの魅力を全力でアピール(?)していた鳥居みゆきが、今回は自身初の写真集を撮影するためにサイパンへと飛ぶ。彼女を撮影するのは、これまで数百冊の写真集を世に送り出してきたというカメラマン・山岸伸。数多くの女性をカメラに収めてきた山岸氏の手にかかれば、流石の鳥居も大人しく……する訳もなく、最終的に写真集は出版されないことに。……本作は、その波乱に満ちた撮影風景の全てを収めたドキュメンタリーだ。

まさかまさかの第二弾である。あれほど面白くなかった前作でも、それなりに評判は良かったということなんだろうか。しかし、稀代の女性芸人・鳥居みゆきを題材に扱っているにも関わらず、十把一絡げの放送作家が雁首揃えて考えたような戯言を映像化したとしか思えない作品の評判が、果たして本当に良かったのか。甚だ疑問である。

と、いきなり前作のことをこき下ろしてみたが、本作はそれに比べて幾らかマシになっている。少なくとも、ホテルの部屋を勝手に改造したり、見知らぬ車に勝手に乗り込んだりするような、前作に見られたあからさまな演出は控えめだ。フェイクドキュメンタリー作品として、それなりに見られるものになっているといってもいいだろう。正直、鳥居のマネージャーが山岸に詰め寄られるシーンではけっこう笑わせてもらったし、海辺での撮影におけるアクシデントを受けて大混乱に陥る鳥居の姿などは、あまりテレビでは見られない質のリアクションだったのではないかと思う。それらに満足できなくても、今の鳥居が水着姿で驚天動地の顔芸を見せているという稀少性だけで、どうにか納得もできるだろう。エンドロールでは、ちゃんとしたグラビアとして撮影された写真も公開されているし。

ただ、終盤の展開だけは、どうも良くない。一応、本編のオチに関わることなので詳しくは書かないが、そのオチに至るまでの展開があまりにも急すぎるのである。オチそのものに関しては、そこまで問題は無い。ただ、あんなに強引な展開にしておいて、このオチにしてしまうのかという不満は残る。もとい、それまでに使える要素は幾つもあった筈なのに、どうしてそれらを使わなかったのかという疑問が残る。例えば、必要無さそうな物が詰め込まれている鳥居の旅行カバンとか、鳥居が宿泊しているホテルの部屋に置いてある自画撮り用ビデオカメラとか、先にも書いた山岸に詰め寄られる鳥居のマネージャーとか、オチに利用できる要素は幾つもあるのである。これらを利用せずに、どうしてもあのオチにしなくてはならなかった理由が存在するのか。どうも、よく分からない。

第三弾が出るのかどうか、現段階では分からない。出なくてもいいとは思うが、第一弾よりも着実に軌道修正されているので、もしかしたら次あたりで傑作が出来るのでは……という気持ちもある。不安そこそこ、期待そこそこ。出したければ出せばいいし、出したくなければ出さなくてもいい。そのくらいの感じで、待ってみてもいい気がしないでもない(キレが悪いね、どうも)。


■本編(74分)