『平成ノブシコブシ単独ライブ 御コント ~徳井健太が滅!~』
平成ノブシコブシ単独ライブ 御コント~徳井健太が滅! ~ [DVD] (2012/08/29) 平成ノブシコブシ 商品詳細を見る |
フジテレビ系列のバラエティ番組『ピカルの定理』にレギュラー出演中のお笑いコンビ、平成ノブシコブシが2012年5月から6月にかけて大阪・東京・札幌・京都を巡った全国ツアー『平成ノブシコブシ単独ライブ「御コント」』より5月27日に開催された東京公演の模様を完全収録。単独ライブのオープニングで披露するマジックのリハーサル中に消失してしまった徳井が、紆余曲折を経てライブ会場へと戻ってくるまでの行程を描いたコントが展開されている。一部のコントには、特別出演として又吉直樹(ピース)、シューレスジョー、かたつむり・林、一木隆平(マンマミーヤ)、タネンチュ国場が参加。舞台に彩りを添えている。
「……と、ここまでは書けました」
「それで?」
「それで?とは?」
「それで?とは?とは?」
「それで?とは?とは?とは?」
「それで?とは?とは?とは?とは?」
「それで?と
「いやいや、もういいから。それで、こっからレビューを書くんでしょ?」
「さーっ、そこが問題なんですよ」
「問題?何が?」
「僕も今回、いつもみたいに平成ノブシコブシのコントの魅力についてですね、うりゃーっと書こうと思っていたんですけどね、これがどうも書けないんですよ」
「書けないんですよ……って、つまり何? わかんなかったってこと?」
「いや、そうじゃないんです、そうじゃないんです。平成ノブシコブシのコントの面白さは自分の中でまとまっているんですけど、それを上手く文章に出来ないというか。この面白さを文章にしたところで、果たして読者の皆さま方に伝わるのかが分からないというか。本当、現実の戦争に対して文章はあまりにも無力ですよ」
「なんか後半、完全に関係無い話をしてるけど」
「……バレました?」
「バレるわ、そりゃ!」
「いやー、戦争の話とか持ち出したら、なんとなく説得力みたいなのが生まれてきて、それなりに格好がつくかと思ったんですけど、やっぱ付け焼刃でそういうことをやってもダメですね。はーっはっはっは!」
「……今度は笑って誤魔化そうとしてるでしょ」
「……バレました?」
「あのねえ、真面目にやるつもりがないんだったら、もういっそ書くのやめたら? 何年ブログやってるのか知らないけどさあ」
「8年です」
「……あんた、8年もブログやってるの!? 8年もやってるのに、この程度の文章しか書けないの!? そんなことだから、他のブロガーさんたちがガンガン売れている中で一人、ブレイクマックスなんて下衆な雑誌からしか仕事が来ないのよ!」
「ブレイクマックスは下衆な雑誌じゃないですよ! ただ、女性有名人の盗撮パンチラ写真を掲載したり、有名芸能人の言われなきバッシング記事を掲載したり、アダルトビデオのレビューを掲載しているだけですよ!」
「それを世間一般では下衆って言うの!」
「ていうか、その雑誌も休刊になっちゃったんですけどね」
「はぁー……あのねえ、文章で身を立てようっていう気持ちが少しでもあるのならさあ、もうちょっと真面目にやらないとダメよ? そんなことじゃ、お笑い評論の場をラリー遠田に占領されちゃうよ?」
「いいですよ、もう。ラリーさんだって、そりゃ毒にも薬にもならないつまんない文章しか書けないラリーさんだって、ちゃんとライターとしての仕事を全うされているんですから。生きていくために若手芸人でもなんでも食い物にしていこうというハングリー精神がある、あの人にはとてもじゃないけど僕は敵いません」
「さらりと酷いこと言うわね、あんたも」
「品性下劣で通ってますんで」
「まあ、そりゃあんたがいいっていうんなら、別に文句もないけどさあ……で、肝心の平成ノブシコブシについての話、ちょっと聞かせてもらいましょうか?」
「あ、はい。えーと……世間一般では、平成ノブシコブシの吉村崇って、単なるイジられキャラというイメージがあると思うんですよ」
「それはあるかもしれないわね。『ロンドンハーツ』とかでも、吉村さんの言動が他の芸人さんにイジられるパターンを何度も見たことがあるし」
「でも、この『御コント』での吉村さんは、メチャクチャ面白いんですよ」
「どういうところが?」
「演じているキャラクターの完成度とか、コントそのものの完成度とか、そういうのは大したことないんですけど、吉村さんの演技がとにかく凄まじいんです。全身からパワーがみなぎっているというか、破裂寸前の風船みたいにエネルギーが詰まっているというか。ちょっとした動きのキレがハンパじゃないんです。極端な話、一挙手一投足が面白い。僕は普段『ピカルの定理』を見てないんですけど、あの番組でもこれだけキレのある動きをしているんですかね?」
「さあ? 私も見たことはないんだけど、確か馬に乗ってるとか……?」
「馬? なんで芸人さんが馬に乗ってるんですか?」
「知らないわよ、じゃじゃ馬を乗りこなすとかそういうことじゃない? あの人、けっこうな女好きらしいし」
「へぇー」
「……その反応、こういう話題には私まったく興味ありませんっていうのがすっごく出てるから、止めたほうがいいわよ? で? 他には?」
「そんな吉村さんの相手をする徳井さんも、また面白いんですよ。コントの設定上、徳井さんは徳井さん本人を演じているので、もう……単なるツッコミじゃなくて、徳井健太がまんま出ている感じになっていて。だから、たまにスッゴい言葉が飛び出すことがあるんですよ。それがまた、たまらなく面白い! どういうことを言っているのかは、ちょっとネタバレになるので言えないんですけど。そういう、徳井さんにしか出せない冷静な側面からツッコミを入れていく、熱情の吉村崇と冷静の徳井健太の対比が素晴らしいんですよねえ」
「ふーん……ねえ、そういえばさっきからコント自体の話が出てこないけど、コントはどうだったの?」
「それは、もう先に言っちゃいましたけど、大した内容じゃないです。ゲイのヤクザが密会しているところに飛び込んじゃってヒットマンと勘違いされてしまうとか、マザコンの告白をジャマしてしまってひたすら絡まれるとか、おじいちゃんが孫に好かれるためのレクチャーをする集団コントとか」
「……けっこう面白そうだけど?」
「いや、でも昨今のお笑いを見ていると、もっと作り込まれたネタって幾らでもあるんですよ。独創的なネタとか、風刺的な意味合いを含んだ構図のネタとか、すっごいエッジの利いたネタなんかいっくらでもあるんです。それに比べると、これに収録されているネタはフツーなんですよね。でも、そういうフツーなコントだからこそ、平成ノブシコブシというコンビの特色を出せているというか、彼らにしか作ることの出来ないコントにしてしまえるというか。多分、ドリフがやっていたような、今だとベタに見えるようなシチュエーションのコントでも、彼らなら平成ノブシコブシのコントにしてしまえるんじゃないかと思います」
「つまり、平成ノブシコブシにしか作り出せない唯一無二の笑いが楽しめるDVD、ということでいいのかしら?」
「まあ、安直に言えば」
「……そういうのをさ、文章で書けないわけ?」
「文章で書こうとすると、どうしても理屈っぽくなっちゃって、面白さを上手く伝えられる自信が無いんですよねえ……」
「……まあ、そういうのは相性の問題とかもあるからねえ……」
「ただ、個人的に一番好きだったのは、特典映像に収録されているシューレスジョーの一人コントなんですけどね」
「……はい?」
「このDVDには、特典映像として出演者全員のネタ映像が収録されているんですよ。そこに入っているシューレスジョーの一人コント『大体3回ずつ言うおっさん』が、めちゃくちゃ面白くてですねえ。短いネタなんですけど、もう好きで好きで……なんでシューレスジョーって売れないんだろうなあって思いましたねえ、ホント。愛されて37歳、大変ですよホント。でも、それでノブコブの後輩ってことは、デビュー自体が遅かったってことですよね? なんで芸人さんになったんでしょうかね?」
「知らんわ!」
■本編(126分)
「オープニングコント」「コント『兄貴』」「コント『自宅』」「コント『路上』」「コント『会場近くの公園』」「コント『会場前の吉村』」「コント『会場前の徳井』」「エンディングコント」
■特典映像(39分)
「吉村どうでしょう その壱」「吉村どうでしょう その弐」
「Discovery KENTA TOKUI」
「出演者PLOFILE(プロフィールとネタ動画)」
■全出演者による本編オーディオコメンタリー