菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ジャルジャルのかじゃら』(2015年10月28日)

2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第四弾。……彼らが天才的なコント職人であることは間違いないが、それでも流石に食傷してきた。第四弾の時点でこんなことになっているようではいけない。現時点でシリーズの三分の一、まだまだこれからだ。

 

マジックが成功したときに激しいリアクションを取ってしまうマジシャンに興醒めさせられる『ガッツポーズマジシャン』。とあるオーディションにやってきた演歌歌手のしんぺいが披露するオリジナルソングにははっきりとした欠点があって……『オーディション~演歌歌手しんぺい~』。焼き肉店にかかってきた予約の電話の主はあの俳優!?『阿部寛来店』。大学の友人が自分の名前をどうしても妙な発音で呼ぶので、イチからしっかりと間違いについて説明するのだが……『TAKAGI』。高校の卒業式にやってきたOBだという中年男性の挨拶はとても退屈でつまらなかったが、とある言い回しにちょっと引っ掛かるものが……『知らんOBの挨拶』。銀座の高級フランス料理店にやってきた珍奇な身なりの男の正体とは?『違いますよ』。以上、全六本のコントが収録されている。

 

ちゃんと実力を見せつけているにも関わらず、ついつい成功に喜んでしまって、結果としてマジシャンとしての評価を落としてしまう『ガッツポーズマジシャン』は、きちんと喋らせれば面白いトークも出来るのに、変なところで噛んでしまったり、妙な言い回しになってしまったりして、話し手としてはなかなか評価されない出川哲朗氏のことを彷彿とさせた。『オーディション~演歌歌手しんぺい~』は演歌にありがちな観客のアレを意識した楽曲に対して一石を投じているコント。言われてみれば、確かに演歌だけアレが許されている雰囲気があるのは何故なのだろう……。『阿部寛来店』は、何を言ってもネタバレになるので何も言わない。ただ、後藤の口調、完全に阿部寛のそれになっていた。上手い。親しい友人の妙な言い回しを徹底的に糾弾する『TAKAGI』は、クドさを売りにしたジャルジャルのコントのある意味では真骨頂。ただ、ストイックな作りになっているので、ちょっと飽きやすいかもしれない。事実、2012年7月に松山で鑑賞したライブ『ジャルっ10じゃねぇよ!』でも披露されたらしいのだが、まったく覚えていない(が、手元の記録には、ちゃんとこのコントの名前が載っている……)。『知らんOBの挨拶』も、何を言ってもネタバレになってしまうコントなので何も言わない。ただ、福徳の口調は、あんまり似てなかった(笑) 『違いますよ』はドッキリをモチーフとしたコント。ちょっと絶望的なオチで後味はあまり宜しくないが、まあ、たまにはこういうのも良い。

 

これらのコントに加え、『オーディション~演歌歌手しんぺい~』に登場するしんぺいが新曲『しんぺい音頭』をプロモーションしている様子に密着したドキュメンタリー『いつか花開くとき~ある演歌歌手の苦節25年物語~』を特典映像として収録。過去シリーズでも見られた、夢を追いかけている人間に迫ったドキュメンタリーとなっているが、主人公が若者から中年男性に替わったからなのか、妙にクサい人間ドラマの様相を呈している。……もしかすると、これが彼らの演歌観なのか? 本作の見どころは、なんといってもしんぺいの恋人として山﨑ケイ(相席スタート)がゲスト出演しているところ……ではなく、過去シリーズに出演していたコントキャラクターががっつりと再登場している点である。やはり彼がキーマンなのだろうか……?

 


■本編【31分】

「ガッツポーズマジシャン」「オーディション~演歌歌手しんぺい~」「阿部寛来店」「TAKAGI」「知らんOBの挨拶」「違いますよ」

 

■特典映像【14分】

「いつか花開くときに~ある演歌歌手の苦節25年物語~」