菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ジャルジャルのすじゃら』(2015年12月16日)

2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第十一弾。

 

うっかり肩をぶつけてしまった相手はタチの悪そうなヤンキーだったが、その脅し文句の言い回しがちょっと変わっていて……『言い回しが珍しいヤンキー』。キャラクターが濃すぎる高校生の南が、今回は生徒会長に立候補した友人のために応援演説をすることに『南~応援演説~』。とても厳しい漫才師の元に弟子入りしている男は、どれほど師匠が止めさせようとしても、決してぶりっ子を止めない!『師匠とぶりっ子弟子』。友人の話を笑いながら聞いていた男の様子が、だんだんとおかしくなっていく『笑ってんの?』。財布を落とした高校生を見かけた男は、彼のことを過剰に子ども扱いしてくる鬱陶しいヤツだった『高校生を子供扱いする大学生』。ピアニストの演奏に合わせてモデルがウォーキングに次ぐウォーキング『ピアニストとモデルのコラボ』。リビングでくつろいでいる男の家に、奇妙なファッションの男がうっかり入り込んでしまう『変なやつが入室』。以上、七本のコントが収録されている。

 

『言い回しが珍しいヤンキー』は彼らの言語センスが大いに反映されているコント。脅し文句が芸人の一発ギャグみたいな扱いになっていく展開が下らなくて面白かった。『南~応援演説~』では『ジャルジャルのうじゃら』に登場した彼が再登場。シチュエーションは違うけれど、やっていることは大して変わらない。その軸のブレなさがなんだかちょっと嬉しい。『師匠とぶりっ子弟子』は最後の師匠の一言に全てが集約されている。そんなに彼を独占したいのか……! 『笑ってんの?』は短めのネタなので割愛。『高校生を子供扱いする大学生』はそのウラに漂う悪意が充満しているコント。とても不条理で、理不尽で、だからこそ面白い。『ピアニストとモデルのコラボ』は、実際にありそうなパフォーマンスのノリを再現している。ノリに乗っている人って、どうしてちょっと滑稽に見えてしまうのだろう。『変なやつが入室』は個人的に本作のベスト。福徳演じる“変なやつ”のビジュアルもさることながら、その変なやつをだんだんと渇望するようになっていく展開が実に楽しかった。そして、あのとてつもないオチ……!

 

これらのコントに加えて、特典映像として『師匠とぶりっ子弟子』に登場したぶりっ子弟子が初舞台を踏むまでを追ったドキュメンタリー「いつかの晴れ舞台へ~師弟の絆~」を収録。ぶりっ子弟子のクセの強さは引っ掛かるものの、師弟制度に身を置いている漫才師のドラマとしてはベーシックな展開を迎えている。それより驚いたのは、これまでの特典映像にさりげなく登場していたあの男が思わぬカタチで登場したということだ。なるほど、しかし、そうなると、どうして彼は色んな場所に……?

 


■本編【30分】

「言い回しが珍しいヤンキー」「南~応援演説~」「師匠とぶりっ子弟子」「笑ってんの?」「高校生を子供扱いする大学生」「ピアニストとモデルのコラボ」「変なやつが入室」

 

■特典映像【14分】

「いつかの晴れ舞台へ~師弟の絆~」