菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

「処女+サルマンとバカジュリエット」舞台ネタコラム

「処女」

●「修学旅行」
修学旅行といえば、最初の集合。先生の話が長かったり、話をしている生徒を先生が叱ったり。それをバナナマンが演じると、とてもリアルになる。イッセー尾形が一人なのに相手が見える舞台を繰り広げるのと同様に、バナナマンは二人とも教師役という設定で、生徒の見えるコントを繰り広げる。そのくらいリアルなのに、明らかにフィクションと分かる空気が溢れているのが、たまらない。凄い毒っぽい。ところどころに音声修正音が入る。おかげでオチが分からない。勿体無いなあ。

●「オサムクラブ」
宗教をネタにするということの危険性。宗教ネタというのは、とにかくそれをネタにすることだけでアウト、みたいなところがある。事実、宗教ネタをしている芸人といえばキワモノか、或いは大御所か。とにかく扱いの難しいネタなのである。そんなネタを、バナナマンがやった。設楽のクラブ「オサムクラブ」に入らないか、と日村を誘うこのコント。テレビでは絶対に出来ないコントだけど、ここまで宗教というものを危なげなく笑いに昇華できるコンビ、他には数えるほどしかいないんじゃないだろうか。

「サルマンとバカジュリエット
●「とりあえず梅太郎」(from「RADIO DANCE」)
出版社の一室で新しい童話を作ろうとしている二人。サラリーマンコントを違和感なくこなしている。さすがの演技力だなあ、と感心。少しずつ童話の世界に引き込まれている日村さん、そして自分で作った物語に感動してしまう設楽さん。二人の人間性が妙に見えてくる、そんなコント。

●「張り込み」(from「激ミルク」)
張り込みをしている刑事の雑談。雑談系の漫才といえば、おぎやはぎ。でも、雑談系のコントをやらせたら、バナナマンが一番なんじゃないかと思ってしまう今日この頃。そもそもバナナマンの演技力が評価されているのも、そういう雑談の演技が凄まじく上手いからで、だから雑談系コントといえばバナナマン。そして、バナナマンの雑談系コントといえば、「張り込み」。このコントの雑談っぷりは素晴らしい。

●「マモルの夏」(from「人間番号」)
少し年上のお兄さんと過ごす夏の日、というのは甘酸っぱくて切ない。僕は、そういう甘酸っぱさや切なさをコントにするバナナマンが好きだ。マモルとお兄ちゃんの夏の一時。それは少しジュブナイル的なんだけども、やっぱりバナナマンらしく、変で面白い。良いなあ。コントを観て「面白い」と思うだけじゃなくて、「なんか良いなあ」と思うのって、あんまりない。良いコントでした。今でも青春系のコントをよくやるバナナマンだけど、その中でも好きなネタ。うん。良い。