菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

イッセー尾形ベストコレクション2004

 対談形式感想文。ネタばれ炸裂。

 

「タクシードライバー」
●設定
東北に向かうタクシーがパンクしてしまった。ドライバーは慌てながら今後のことを考える。
●感想
A:とにかくタクシードライバーのキャラが……まんま横山やすしなのが良いネ。
B:設定だけを見ると、割と普通なんですよ。パンクして立ち往生、そして客の複雑な事情に関わっていく。
A:でも、関わっていくのが横山やすし。これは笑うしかねえわけだ。
B:なんでも普通に演ったら、面白くなかったんだそうです。だから関西弁になって、そしてこうなった(笑)
A:イッセー自体は関西じゃないから、関西弁に無理は感じるがな。キャラで押し切ってる
B:かなり似てますよね。横山やすしに。
A:太平サブローあやうし! か。
B:個人的に、横山やすしとタクシーってだけで爆笑ですよ。やっさんとタクシーは切っても切れない関係ですから(笑)

「生物教師」
●設定
生物教師が生徒の前で猫の解剖をした。おかげでクビになりそう。おそらく、最後の授業が始まる。
●感想
A:まあ、やっぱり……最初の……なあ?
B:そうですねえ。最初の「猫の解剖」で一気に引き込まれましたねえ。そこから掘り下げる技術が素晴らしい。
A:全編の殆どが言い訳っていうのもな(笑) こういうセンスが好きだな。
B:それにしても、なんですかね。あの髪(笑)
A:油がビタビタ塗りたくってあるもんな。ピカピカ光ってる。あれは凄い。ギトギト。
B:僕、告白の前にそこで笑いましたよ。あそこまでギトギトにしなくても。毛根が見えそうでしたよ。
A:まあ、それは置いといて……なんだかんだ言ってるが、この教師は良い教師。
B:そうですね。授業中に酒飲んでますけど(笑) 僕はこういう先生、好きです。
A:副音声によると、猫の解剖はイッセーの実話らしいな(笑) どんな先生だったんだ、まったく。

「ロシアの恋」
●設定
ロシアの美術館にて。とある部屋の話を淡々と語る女性。
●感想
A:ロシアっつーことで。案の定、例の映画関係なんだが。
B:イッセーさんがロシアの美術館で見た、まるで人気の無い絵画を飾った部屋を見て思いついたそうです。
A:あんまり笑いを意識したネタじゃねーな。笑いの数は、恐らく一番少ない。
B:でも、独特の味はありますよね。
A:そこが一人芝居の一人芝居たる所以……普通のコントとして観ると、面白くは無いな(笑)
B:たまにはこういうのも良いな、ということで。

「大家族~クリスマス編~」
●設定
クリスマス直前。家族全員で内山さんのお見舞いに。しかし案の定、そこで事件(?)が……!
●感想
A:人気シリーズ、大家族。もう第五弾か……長いな、おい。
B:イッセーさんにしては珍しく、凄く笑いを狙って作ったって分かるネタですからね。で、実際に面白い。
A:相変わらず、大家族の面々が親父に振り回されているな(笑) ……ん? 逆か?
B:どうですかね。とりあえず、家族が迷惑そうな顔をしているのが、はっきりと分かりますけれど。
A:相変わらず、親父の気の回し方が迷惑だよな。内山さんが困っている姿も目に浮かぶ。
B:こういう親父は見ていると面白いですけどね。たぶん、近くにいるとジャマで仕方が無いと(笑)
A:いや、こういう家族がいるとジャマ。というか、鬱陶しい(笑) 「ビーン」みたいなもんか?
B:とりあえず、オモシロさは変わらない。良いなあ。大家族だけ収録したベストが出たら、売れますよ。

「世界のみなさんこんにちは」
●設定
海外。何故か軍人に閉じ込められた男は、とりあえず自分の状況を知ろうとする。しかし空転するばかり。
●感想
A:最初に思ったのは、こういうのを小林賢太郎ラーメンズがやりそうだな、と。
B:最初、客に全てを分からせようとしないっていうやりかたは、小林がよくやる手口ですからね。
A:小林が一人芝居するときは、これ演ってほしいな。……さて。真面目な感想を言うか。
B:言っちゃってください(笑)
A:とにかく周囲に掻き回されてばかりいる男が良いな。あと、男の考え方が素晴らしく無茶苦茶
B:途中から、自分が王子と勘違いされていると思い始めますからね。この思考は、確かに素晴らしい。
A:その辺りはイッセーがイッセーたる所以とでも言うか(笑) ファンタジーだなあ。

「キルケゴ~ルはつづくよ」
●設定
ネットの一行広告で人を集めた男は、キルケゴ~ルについて語りだす。しかし、どうもインチキ臭い……。
●感想
A:ジャケ写を見たとき、一番気になったネタなわけだが……案の定、インチキ。
B:もう、いかにも胡散臭いですからね。インドには、確かにいたっぽい雰囲気がありますが。
A:最初は上の立場から物を言っていた男が、だんだん腰が低くなっていく様子がなんとも言えんな(笑)
B:集まった人たちが反抗的になっていくんですね。また、それに対して逆ギレするし(笑)
A:ラーメンズ「ダメ人間」っていうコントがあったけど、こっちのほうがダメ人間だよなあ。
B:まあ一応、「ダメ人間」は働こうとする意識がありますからね……うーん(笑)
A:このコントはオチでこけた吉本新喜劇みたいなこけかた。素晴らしいナ。

「老ロッカー」
●設定
老人のロックンローラーがアンコールで歌う。
●感想
A:もう言うことは何も無し。とにかく、歌う。
B:最初は真面目に歌っている。でも、途中から……老人っぽさを強調した歌に。
A:なんだかんだで良い曲を書くよなあ、イッセー。CDは出さないのかねえ。

「チェロを弾く女」
●設定
保育園でチェロを弾く女。メンバーが遅刻して暇なので、子供たちと話をするのだが……。
●感想
A:このネタは既にBSで放送されたのを観ていたわけだが。まー……上手いね。
B:チェロを使ったネタっていうだけで凄いのに、上手く笑いに昇華しているのが凄いですね。
A:簡単に説明すると、チェロを使って源平合戦を説明しているわけなんだが……。
B:展開が無茶苦茶ですよね。平安なのに、ジャズバーとか出てきますもん。もう笑うしかないですよ。
A:チェロで作る音、展開の無茶苦茶さ、そしてキャラクターのリアリティー。どれも凄い
B:これは真面目に観てもらいたい。今のテレビでは観られない笑いですよ、これは。
A:……いや、テレビで放送されてたっつの。

・総評
A:とりあえず……高いよな。
B:これまで褒めておいて、最後にそれですか!?
A:いや、だってなあ……7,600円(税抜)だぞ? こちとらスピードワゴンも買ったってのに。
B:そういう金関係の話は良いんですよ。内容について、何か言ってください。
A:そうだなあ……まあ、悪くなかった
B:……え? それだけ?
A:他に何か要るか?
B:もうちょっと……何か言いましょうよ。
A:そうか? そうだなあ……個人的には「生物教師」が面白かったな。好感の持てるキャラは好きだ。
B:キャラですか。キャラと言えば「大家族~クリスマス編~」ですけど。
A:「大家族~クリスマス編~」は、言うまでもないだろ。もうシリーズのまま続けて大丈夫。面白い。
B:他には?
A:そうだなあ……ジャケ写が格好良いな。大家族の親父が、異常にりりしい(笑)
B:頭に三角の帽子を被ってるんですけどね(笑)
A:お前はどう思う?
B:そうですねえ……今の若手芸人に負けず劣らずなネタばっかり収録されていたと思います。
A:うん。
B:というか、若手には出せないですよ。この空気は。イッセーさんくらいにならないと出せない。
A:若手は売れるため常に真剣だからな。その点、イッセーは少しばかり余裕がある。そこの違いだな。
B:あと、相変わらずリアリティが凄いですよね。本当にいそうな人ばっかり。
A:「タクシードライバー」以外な。
B:あー……あれは……大阪にはいそうですよ。案外。
A:でも、あれが働いてんの東京って設定だぞ?
B:……流れ流れて辿り着いたのが東京なんじゃないですか?(笑)
A:……ああ、なるほど。
B:納得しちゃったよ!

A氏、B氏に感謝。