熱を冷まして『破廉恥』
- 出版社/メーカー: ローランズ・フィルム
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: DVD
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今回のDVDに収録されている噺は『川柳の芝浜』『カラオケ寄席』『一発のオ○ンコ』の三本。実に言葉にするのも憚られるタイトルですね。特に最後のネタは酷さは、目を覆いたくなります。お察しの良い方はお気づきになられるでしょうが、あの感動の名作「一杯のカケソバ」の舞台をソープランドに置き換えたものであります。いやあ、ブラックって本当に酷いですね。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ、したくなりますね。……と、フザけるのはここまでにして、ここから感想に入ります。
『川柳の芝浜』は、知る人ぞ知る落語家“川柳川柳”(かわやなぎせんりゅう、と読みます)を主人公に古典感動落語『芝浜』を演じるというものです。前作に収録されていた『「紀」子ほめ』と同様、実在する人物を古典落語に参加させたパロディ噺ですが、なかなか有名な作品のようで、ブラック師以外にも鈴々舎馬風(五代目)師がこの噺を演じているそうです。実際、なかなかよく出来た噺で、特にバカバカしいけど上手いオチには、元の噺を知っている人ならばニヤッと笑みを浮かべてしまうでしょう。……逆に言えば、元の噺を知らないと分からないという……。
『カラオケ寄席』は、正真正銘の創作落語……と思いきや、どうも春風亭柳昇師匠の十八番ネタ『カラオケ病院』のパロディの様です。ブラック師はパロってばかりです。素直じゃないんでしょうね。客の入らない寄席に客を集めようと、落語家達がカラオケ寄席なるものを開こうとするわけですが……これがなんというか、物凄い内輪ネタになっております。慣れてくると面白いですが、これも落語業界を知らないと分かりづらい噺。今回は内輪ネタが続きますナ。
最後の『一発のオ○ンコ』……まあ、これは良いや。
こうして、改めてブラック師の落語を俯瞰で見つめてみますと、噺の本筋よりも、ちょこちょこ挟み込んでいる小ネタの方が面白いという……うーん。いや、それこそがブラック師の真髄と言いますか、特性なんですね。とにかく下らないことを詰め込みたい、という意思を持ってやってますね。単に愚痴っぽいだけかもしれませんね。
ちなみに、ブラック師のDVDは既に第三弾『不敬罪』の発売が決定しているようですね。多額の借金を背負い、妻には逃げられ、終いには病床に臥せってしまうような芸人が売れるような世の中、実に素敵ですね。でも、今の様にタブーが世にはびこっている時代には、ブラック師が必要なのかもしれませんね。快楽亭に、栄光あれ。
・収録時間:105分+特典16分 ・特典映像:スペシャル対談「えろ噺」篇(お相手:川上史津子)