菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

剛から柔へ『鍛えるぞ! 鍛えるぞ!』

 これまでのザ・プラン9は、とにかく硬かった。
 それらは確かに面白かった。どれもこれも、彼らの実績と発想に基づいた、しっかりと笑いの取れるものだった。そう。それらは、確かに「面白かった」。
 ただ、「面白い」だけではダメなのだ。お笑い芸人の多くは、その「面白い」に、更に何かしらの要素を足すことによって個性を見出しているのだが、ザ・プラン9のそれは、五人組であるという形式だけだった。M-1グランプリ2006で、中田カウス師匠は彼らを「今までに無いカタチだ」と評したことからも、そのことが伺える。
 彼らには、笑いとは別に「余計なモノ」が必要なのだ……と、そういうことを、以前に『見晴らしのええマンション』の感想のときに、書いた。あれから、およそ三年。ザ・プラン9のコントは、随分と余計なものが付け加えられるようになったと思う。
 ザ・プラン9のコントに付け加えられた余計なモノ。それは、徹底的な「下らなさ」である。もっと言ってしまうなら、「バカバカしさ」だ。まあ、元々そういう類いのコントを得意としていたユニットではあったが、今回はいつにも増して下らなかった。
 何が下らなかったかって、とにかく登場するキャラクターが下らなかった。一本目のコント『お見合い』に登場する、なだぎ武演じる執事の動きの機敏さ、二本目のコント『いらないわよ!そんな靴』に登場する、浅越ゴエ演じる挙動がおかしい彼氏の言動、ゴエゴ14という中二のキャラクター、境港で行われている鬼太郎ショーに何故か現れるレレレのおじさん……どれもこれも、実に下らない。下らなさすぎて涙が出る。
 また、この下らなさが「ナンセンス」というところまでいっていないのが良い。センスを感じさせる下らなさじゃなくて、子供向けのギャグ漫画みたいな下らなさがある。その辺りが、実に心地良い。
 コントのクオリティとしては、これまでの公演と比べて少し下がった感。ただ、失ったものよりも得たもののほうが大きかった。そう思う。これからのザ・プラン9は、これまでとは一味違ったものになっていくのかもしれない。
 最後に。さようなら。鈴木さん。最後の最後まで地味なポジションだったけれど、鈴木さん特有のセンスあるコントは、決して嫌いではありませんでした(今回で言うと、たぶん『嘘』が鈴木さんによるものではないかと)。ただ、今のザ・プラン9の流れと、鈴木さんの目指しているものは、確かに違ってきたように、今回の公演では感じました。
 また、どこかで、お会いしたい!

・本編(97分)
『オープニング』『お見合い』『いらないわよ!そんな靴』『嘘』『ゴエゴ14 〜日本人・鳥井勝子〜』『On the air』『駄目だこりゃ』『鍛えるぞ! 鍛えるぞ!』
・特典映像コント(6分)
『秘密』『SP』

 ちなみに『On the air』は、某番組批判コントだった。