菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『東京ダイナマイト&サンドウィッチマンの漫才先生 in パラオ』

東京ダイナマイト&サンドウィッチマンの漫才先生 in パラオ [DVD]東京ダイナマイト&サンドウィッチマンの漫才先生 in パラオ [DVD]
(2009/08/05)
東京ダイナマイトサンドウィッチマン

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漫才師として独自の路線を突き進み続けている東京ダイナマイトと、安定感のある攻撃的なネタでM-1グランプリのチャンピオンにまで上り詰めたサンドウィッチマン。この、芸人としての魅力に満ちている二組が、何故かパラオで日本語を勉強している人たちに、漫才をレクチャーするという。

それはまさに、漫画やアニメーションと同様に、日本が誇るべき文化である“漫才”を、より国際的なものへと発展させていこうという四人の強い意志があったに違いない。流石は、漫才師として独自の路線を突き進み続けている東京ダイナマイトと、安定感のある攻撃的なネタでM-1グランプリのチャンピオンにまで上り詰めたサンドウィッチマンだ。漫才という文化を広めるために、彼らは今日も世界を股に飛び回っているのだ。素晴らしい。自らの芸を掘り下げることに邁進しているだけの十把一絡げな漫才師とは格が違うのである。

四人はパラオで漫才を教えるため、まずパラオという土地についての学習を開始する。なるほど。パラオで漫才を教えるためには、まずパラオという国の姿について知らなくてはならない。実に理に適った作戦ではないか。寝る間も惜しんで、彼らはパラオについて勉強する。時にリゾートホテルのプールで遊泳し、時にボートに乗って美白に良いという泥を全身に浴び、時に鮮やかな日光の差す砂浜でキャッチボールや相撲に興じる。全ては、パラオの人たちに漫才をレクチャーするための、下調べに過ぎない。決して、観光旅行なんかしちゃったりなんかしているわけではない。

その現場にさわやか吾郎こと上々軍団の岡見時秀の姿が見られるのも、もちろんハチミツ軍団の一員だからという理由ではない。漫才という伝統文化を世界中に広めるために、爆笑オンエアバトルでオーバー500を記録した上々軍団をブレーンに招いたに過ぎないのである。流石は、漫才師として独自の路線を突き進み続けている東京ダイナマイトと、安定感のある攻撃的なネタでM-1グランプリのチャンピオンにまで上り詰めたサンドウィッチマン。何から何まで、用意周到だ。

やがて、授業が開始される。パラオという国を堪能……じゃなくて、学習したサンドウィッチマン東京ダイナマイトに、もはや死角は無かった。小手調べに個人で始めた日本語の授業は、どれもバカウケ。パラオで日本の政治について語った伊達の授業も、股間に天狗の面を仕込んだ松田の授業も、日本の童話について紙芝居で説明する富澤の授業も、GTOの影響を多分に受けたハチミツ二郎の授業も、全てバカウケだ。……バカウケだ。もちろん、漫才レクチャーだって外さない。生徒たちは皆、笑顔で二組の授業に聞き入っていた。流石は、漫才師として独自の路線を突き進み続けている東京ダイナマイトと、安定感のある攻撃的なネタでM-1グランプリのチャンピオンにまで上り詰めたサンドウィッチマンである。あまりにバカウケだったので、思わずDVD用に学校コントまで撮影してしまっている。なんという余裕! 見ているこちらが身震いしてしまうほどの余裕である。

そして最終日、パラオ中の日本人たちを集め、彼らはお馴染みの漫才ネタを披露する。サンドウィッチマンが披露したのは、お馴染みの留学生のアルバイトコントだ。日本でもバカウケするネタだが、パラオの日本人にも当然バカウケだ。一方、東京ダイナマイトが披露したのは、やはりお馴染みのカットチャンピオンのネタだ。言うまでもなく、バカウケだ。

こうしてパラオに漫才という文化を伝えた東京ダイナマイトサンドウィッチマンは、自らのホームグラウンドである日本へと帰っていった。彼らの思いはきっと、彼らの心に届いたことだろう。もしかしたら十年後、二十年後のM-1グランプリ決勝の舞台に、パラオ出身の漫才師が立っている可能性は、誰にも否定することは出来ない。そして、彼らの漫才を広めるための旅は、まだ終わらない。いつかまた、彼らは旅に出るだろう。漫才を伝えるために。あと、その下調べとして、現地を調査するために。


・本編(117分)

・特典映像(10分)