菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ジャルジャルのさじゃら』(2015年12月2日)

2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第九弾。

 

ハゲ頭を活かしたショートコントを得意とする若手芸人“若ハゲサンキュー”、しかし彼にはそれ以上に大きな特徴が……『若ハゲサンキュー』。新しくやってきた教師の服がデカい!『服でっか…』。「おならブーのうた」という曲を歌っている路上ミュージシャンに遭遇した酔っ払いが、そのバカバカしい内容にガヤを飛ばしていたら……『おならブーのうた』。変な喋り方で変なテンションの友人を昼休みの食堂に呼び出し、ある大事な話をしようとするのだが、とある理由からなかなか落ち着いて話が出来ない『変わりもん』。自治体のゆるキャラを決める会議で、その場にいない人のことをゆるキャラ候補としてイジッていたら、急に当人が姿を見せて……『落ち武者』。落とし物を拾ってくれた人の服が小さい!『服小さっ…』。薄い壁の向こうから微かに聞こえてきたのは、隣人が見ていると思われるアニメ番組の音声だった『激烈少年ばびーぶべぼー』。舞台「江戸っ子探偵」の主役・江戸っ子探偵を演じる役者に演出家の檄が飛ぶ!『江戸っ子探偵』。以上、八本のコントが収録されている。

 

『若ハゲサンキュー』はコンプレックスをテーマにしたコント。ややテーマが『ハゲてもうてる』(『ジャルジャルのくじゃら』収録)と被っているが、そっちはセーフだけどこっちは……という矛先の向きの違いを描いているという点に違いが。個人的には『ハゲてもうてる』の方がシンプルで好きだ。『服でっか…』と『服小さっ…』はショートコント。ビジュアルの可笑しみとスピード感を楽しんでもらいたい。コミカルに見える曲が実は……というギャップを描いた『おならブーのうた』は、ある種のコミュニティ内でのみ通じている常識が外部では通用しないということを如実に表現したコントだったように思う。まあ、ライブハウスの様な閉じた空間ならともかく、屋外でやっていたら、そりゃあ……ねえ……。『変わりもん』は後藤のナイスなキャラクターが炸裂しているコント。メリハリのある演技を見よ。陰でイジっていたことがバレてしまう『落ち武者』は、その後のフォローの全てがグズグズになっているところを楽しむコント。観客という無責任な立場だからこそ楽しめるんだろうな、この状態は。思わぬオチの放り込まれ方にも注目して頂きたい。『激烈少年ばびーぶべぼー』は、漠然とした情報から勝手に膨らましてしまった妄想の楽しさと現実のギャップを描いている。実際に旅行に出かけるよりも、旅先のことを考えながら計画を立てている方が楽しい、という感覚に似ているのかも。『江戸っ子探偵』はこれまでのジャルジャルのコントにも見られた、どうでもいいようなことをひたすら厳しく稽古させられているナンセンスな情景を描いたコントである。そこには何かしらかの信念・理念があるのかもしれないが、傍から見れば……。

 

これらのコントに加えて、特典映像として「定点観察 ~都会のコインランドリー24時~」を収録。某公共放送の某ドキュメンタリーをモチーフとした映像となっており、本編に登場するコントキャラクターが次々に登場する。どのキャラクターたちもクセがあるが、とりわけ、あの若手芸人とあの落ち武者がかち合う姿は必見。そして、案の定、こちらの映像にもあの人物が……。

 


■本編【31分】

「若ハゲサンキュー」「服でっか…」「おならブーのうた」「変わりもん」「落ち武者」「服小さっ…」「激烈少年ばびーぶべぼー」「江戸っ子探偵」

 

■特典映像【14分】

「定点観察 ~都会のコインランドリー24時~」