菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ジャルジャルのせじゃら』(2015年12月23日)

2015年10月7日から12月23日にかけて12週連続でリリースされる、ジャルジャル自選コント集の第十二弾。

ミュージシャンのオーディションにやってきた、ただならぬ雰囲気の男が披露する楽曲とは……『オーディション~人格変な奴~』。周りの皆の忠告を無視してカンニングペーパーを準備していた学生が、試験中にあっさりとカンニング行為がバレてしまい……『最低人間』。これといった芸を持たない新入社員が宴会芸をするように強要される『新入社員のしぼり出した宴会芸』。勇者の前に現れた怪しげな老人は、何か助言をしてくれようとしているらしいのだが、雰囲気が凄すぎて何を言っているのかがさっぱり分からない『冒険者に告ぐ』。放課後、隣のクラスからやってきた今谷が、正西に “まさに思春期”と“未だに年頃”の二人で文化祭の出し物をしようと持ち掛ける『正西俊樹と今谷敏吾朗』。以上、五本のコントを収録。

『オーディション~人格変な奴~』は、キャラクターと作品の方向性がズレているヤツをテーマにしたコント。それはそれで天性のアーティスト的なモノを感じなくもないけれど、でも確かに違和感は覚える。終盤のやりとりはちょっとほっこり、そしてびっくり。しかし、続く『最低人間』で、気持ちは完全にどん底へ。もう、本当にタイトルのまま。普段なら、ここまで極端に描かれているサイテーなヤツなんて、むしろ大笑いしてしまうところなのだが、あまりのサイテーぶりに、コントが終わった後もしばらく引きずってしまった。で、そんな状態で観賞した『新入社員のしぼり出した宴会芸』、これが……面白かった。投げやりに宴会芸を強要した結果、巻き起こってしまった大惨劇。無計画に相手の望まない行為を強要すると、ここまで極端ではないにしても、大事故に繋がってしまう可能性があることを上手く表現している。最後の新入社員の素っ頓狂な台詞も良い。『冒険者に告ぐ』はジャルジャルにしては珍しく、なかなかベーシックなつくりのコント。ファンタジー色の強い設定で上手く底上げされている印象。シリーズ最後を飾るコント『正西俊樹と今谷敏吾朗』は、ただただ悲惨、ただただ悲劇。しょーもない思い付きが、その発案者すらも幸せにしない恐怖の展開を迎える様に、苦笑いが止まらない。

これらのコントに加えて、特典映像として「南を知りませんか?~失踪した友達を探して~」を収録。突如、姿を消してしまった南を探すために、クラスメートの根岸がこれまで撮影されたドキュメンタリー映像に偶然映り込んでいた南を確認し、現在の居場所を推理する。正直、とりたてて驚くような内容ではないのだが、これまでの11作品に登場したキャラクターたちが次々に登場する大団円のような展開に、うっすら感動を覚えてしまった。

さあ、これで12週連続リリースも終了。これでしばらくはジャルジャルとがっぷり四つを組まなくて済む……え? 『ジャルジャルのそじゃら』があるって!?

 


■本編【34分】

「オーディション~人格変な奴~」「最低人間」「新入社員のしぼり出した宴会芸」「冒険者に告ぐ」「正西俊樹と今谷敏吾朗」

 

■特典映像【16分】

「南を知りませんか?~失踪した友達を探して~」