菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂!『ロックンロール劇場』(超新塾)

ロックンロール劇場 [DVD]

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最初に、笑いにロックンロールのスタイルを持ち込んだのは、一体誰なのだろうか。過去の例を見るならば、島田紳助松本竜介のスタイルはロックンロールに近いものがあるように思うが、ロックを前面に叫ぶようになったのは、ここ数年のことのように思う。そのロック芸人たちの中において、特にロックンロールを叫んでいるコントユニットこそ、超新塾である。思えば、僕が初めて彼らの姿を目撃したときから、彼らはロックを叫んでいた。その当時の彼らは、ロックンロール風の「笑点」という設定のコントを披露しており、不器用ながらも濃い口なスタイルが、やけに印象に残った。それから、およそ二年後。超新塾は、現在の一人ツッコミ・四人ボケのスタイルを確立し、現在に至っている。今作『ロックンロール劇場』の大半を占めるネタは、彼らがテレビ番組で披露してきた、タイトルにもなっている「ロックンロール劇場」というスタイルのコントだ。具体的に書くと、リーダーである新塾イーグルがツッコミ役に徹し、それ以外のメンバーが、一人ずつボケ役を買って出るという内容である。『はねるのトびら』に、堤下がツッコミ役で、それ以外のメンバーが物ボケをするというコントがあったが、それに極めて近いスタイルと言えるのではないだろうか。
ただ今回は、そういった本芸よりも、むしろ幕間映像のほうに注目したい。前作『ロックンロールコント集団 超新塾』を観たときにも感じたことなのだが、超新塾は妙にロケに強い。五人という多人数ユニットであるからなのか、リーダーであるイーグルの仕切りが上手いからなのか、それとも五人がそこそこにキャリアを重ねている芸人だからなのか……理由は定かではないが、とにかく楽しそうな雰囲気を作るのが上手い。特に今回は、企画自体が「自動販売機についてるルーレットを当てる」という単純かつ幼稚な内容だったためか、超新塾のロケでのイキイキした様子が前作の映像*1よりも楽しめた。
さて、肝心の本芸についても少し。先にも書いたように、今作に収録されているコントの殆どが「ロックンロール劇場」というスタイルである。そのスタイルは前作に収録されているものと形式は同じだが、幾つか進化が見られて面白い。ここで説明するのも良いが、これは実際に見比べてもらったほうが良いだろう。両方を購入して、実際に比較してもらいたい。明らかに違う。
……しかし今回、これらの映像を全て無にしてしまうほどの衝撃を、僕に与えた映像があった。その映像とは、リーダーの新塾イーグル超新塾ミクロマンこと新塾タイガーによるユニットコント『空想モノマネ』である。『空想モノマネ』とは、実際に存在しないモノや出来事をコントで表現する、というもの。お笑い好きの人に分かりやすく説明するならば、バカリズムの『影の仕事』を仕事内容自体がフィクションになっているコント、といったところ。……こうやって説明すると、とりたてて驚くような内容ではないように見えるかもしれないが、いやいや、本当に凄いコントなのだ。このコントを初めて観た僕は、そのあまりの衝撃で、思わずmixiの日記に「凄いの見た! 凄いの見た!」と書いてしまった。……つまり、そのくらい凄かったのである。その思わぬ衝撃を感じるためにも、是非とも今作を鑑賞していただきたい。いやー……超新塾、思ったよりも奥が深い。

・収録内容
『ロックンロール劇場1(女に告白したい・スタートダッシュ)』『ロケ:5人でジュースを当てよう<前編>』『ロックンロール劇場2(女を褒めたい・北斗の拳)』『空想モノマネ』『ロケ:5人でジュースを当てよう<後編>』『ロックンロール劇場3(三三七拍子・エースストライカー)』
・特典映像
『ロックンロール激情』より『バイク名歌』『ズンドコロケンロー』
『ロックンロール大喜利』(デビュー時ネタ)
・収録時間:22分+特典10分

*1:前作では、体を張ったロケがメインになっていた