菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

理不尽不発弾『傘買って雨上がる』

東京03 単独ライブVOL.5 傘買って雨上がる [DVD]

東京03 単独ライブVOL.5 傘買って雨上がる [DVD]

アルファルファの二人に、元プラスドライバーの角田がトリオを結成するという奇跡から、四年が経った。もう四年、というより、まだ四年、といったほうがしっくりくる。この四年の間に、東京03は本当に成長した。結成当初はトリオとしての芸があやふやだったけれど、それもだんだんとカタチになってきて、今ではすっかりお笑いブームを代表するトリオの一組になった。そんな東京03が、初めての単独DVDを発売したのは、2006年10月のこと。そこに収録された第4回単独ライブ『夏下手男』は、彼らの良さを存分に引き出したライブだった。どのくらい良かったのかというと、それを観た僕が「こんな最高のライブの次に、彼らはどんなライブをやることが出来るんだろうか?」と思ってしまったくらいに、良いライブだった。……で、その次のライブ『傘買って雨上がる』が、遂に発売された。どういうライブになっているのか、楽しみだったり、不安だったり。しかし、これが……なかなかだった。
前回の公演では、シンプルな設定に人間の凄まじい感情を封じ込めたコントを爆発させていた東京03。その展開は凄まじくも筋の通ったものになっており、ツッコミ役としての飯塚さんも「客の代弁者」としてのポジションをキープしていた。しかし、今回の公演での飯塚さんは、かなり理不尽なキャラクターを演じることが多かったように思う。例えば、『気負い』というコント。合コンで気負っていることを隠している角田さんと、その本音を聞きだそうとする飯塚さんのやりとりは、非常にコミカルではあるけれども、こういうのが身近にいたら、物凄く面倒くさいと思うのではないだろうか。つまり、この状態は物凄く理不尽なのだ。それでも、客は笑う。以前から演技力があると思っていたけれど、今更ながら飯塚さんのツッコミは凄さを知った。
それにしても、今回も豊本さんは添えつけみたいなポジションで、ちょっと残念。『ウラ好き』でのキャラクターは、アルファルファ時代のウザキャラになっていたように思うけど、それでもやっぱり小ボケポジションだったし。テレビでの見せネタになっている『バンドマン』では唯一、メインキャラとして頑張っていたように思うけど、このネタも他のネタに比べて色の違う内容だったからなあ。アルファルファ時代の彼の神がかったボケを知っている人間としては、もうちょっと、豊本明長に頑張ってもらいたいなあ。
ところで。今回は「副音声」という機能が搭載されている。ネタについて楽しいトークが聞けるのかと思いきや……舞台の上では内面を包み隠さないコントを披露している東京03の、ある意味で物凄くダーク&ネガティブな面を曝け出していた*1。うーん、なんという複雑な……総合的に観れば、面白い公演だったと思う。ただ、副音声のダーク&ネガティブっぷりで、ちょっと気落ち。面白いんだけどなー。キツいわー。
最後に余談。副音声によると、最後の演目『妹』の脚本は、第三のバナナマンことオークラによるものらしい。ネタ中に出てくるフレーズが東京03っぽくないなーとか思っていたけれど、そういうことか。

・内容(70分)
『一服』『気負い』『ウラ好き』『バンドマン』『スマイルハウジング』『ちょっと有名人』『妹』
・特典(18分)
『飯塚悟志のぶらり散歩道2』『歌い屋角ちゃんの歌で覚える注意書き』『説明スケッチバトル』
・全ネタ副音声付

*1:角田さんが○○したとか、飯塚さんが活動休止中のバイトで酷い目にあったとか、豊本さんのお姉さんが○○○だとか