菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『ハンブン東京』

ハンブン東京ハンブン東京
(2008/06/18)
吉沢悠

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2005年9月に『内村プロデュース』が終了したとき、ある噂がネット上で飛び交った。番組の主軸だった内村光良は、ある宗教団体の弾圧によって、テレビから追い出されたのではないか、という噂だ。そこには何の根拠もないが、『内村プロデュース』終了後、内村がテレビの世界から姿を消してしまったことが、その噂の信憑性を高めていたように思う。

しかし、実際の内村は、テレビ以外の舞台で活躍していた。2006年1月には、初監督作品『ピーナッツ』が公開され、NO PLANとして主題歌を発表した。同年11月にはネット番組『内村さまぁ~ず』の配信が開始、後にDVDとして発売されるようになる。『内村プロデュース』もまた、特別番組として何度も放送されていた。現在も、内村はテレビから姿を消すことなく、現在は『世界の果てまでイッテQ!』『理由ある太郎』、コンビとして『ザ・イロモネア』の司会を務めている。

今になって思うに、恐らく内村がテレビ以外の仕事を始めようというタイミングで、『内村プロデュース』が終わったことにより、そういった噂が蔓延してしまったのだろう。無論、これも推測でしかない。ただ、内村のテレビ以外の活動が、決して時間潰し程度に行われたものではなかったことだけは、間違いない事実である。

本作ハンブン東京は、そんな内村がテレビ出演とテレビ出演の隙間期間で行った、舞台公演である。内村は作・演出を担当しており、自身も出演を果たしている。タイトルの『ハンブン東京』の由来は、「東京で生活している人間の半分は、地方出身者であるらしい」というところから来ているそうだ。なんとも内村らしい、優しさを感じる由来である。思えば、この公演はとてつもない優しさに包まれたものだったような、そんな気がする。

この舞台の登場人物たちのほぼ全員が、地方出身者だ。彼らは、東京で生活している中で、様々な悩みを抱えていたり、苦悩していたりしている。自分のやりたいことが見つからないフリーター。彼氏のことを思い出して、仕事中に思わず泣き出してしまう美術館員。仕事に踊らされているサラリーマン。この舞台で描かれているのは、そんな彼らの日常のドラマである。

そんな世界観が、なんとも内村っぽい。まだ観ていないんだけど、たぶん映画『ピーナッツ』も、こういう感じなんじゃないかと思う。特別じゃない、ごく当たり前の人たちの、ちょっとだけ特別な日常劇。内村光良という芸人が好きな人なら、楽しめる舞台になっていると言えるだろう。

ただ、ちょっとどうかと思ったことが一点だけ。そもそも内村が芸人だから、多少は仕方のないことだとも思うんだけれど、どうもさまぁ~ずとバナナマンに比重を置きすぎな印象を受けた。いや、バナナマンはまだ本筋に絡んでこないから良いけれど、さまぁ~ずはちょっとアレだったなあ。

悪いことではないんだけれど、さまぁ~ずが出てくるたびに、舞台全体の空気が急激にさまぁ~ず色になってしまうんだなあ。三村が喋れば、そこはもうさまぁ~ずライブ。大竹がボケれば、そこはもうさまぁ~ずライブ。もう、何をやってもさまぁ~ず・さまぁ~ず。さまぁ~ずが好きな人にはたまらないだろうけど、全体的にさまぁ~ず色になってしまったのは、舞台演劇としてはどうなんだろうか。

あと、最後に大竹がとんでもない状況になってしまったのに、そこが大して拾われることなく、別の出来事で誤魔化して終わってしまった感じになってしまったのは、残念としか言いようがなかったなあ。あそこにオチをつけてから終わらせてもらいたかった。

とはいえ、かなり面白い公演だったことには変わりなく。出来ることなら、次回の公演も観てみたいと思うのだが……これっきりにしてしまうのは、ちょっと勿体無い。また定期的に、こういう舞台公演を行ってもらいたいなあ。


・本編(DISC-1/130分)

・特典映像(DISC-2/117分)

初顔合わせ&本読み」「稽古風景」「いよいよ舞台本番」「もう1つのハンブン東京日村勇紀物語~」

「公演期間中の色んな事」「本編未収録回におけるハプニング」「作・演出 内村光良

「最終公演カーテンコール」「打ち上げ」

 ちなみに、特典映像のナレーションは『内村プロデュース』『内村さまぁ~ず』でお馴染みの、あおい洋一郎氏。そういえば、この作品の発売元も『内村プロデュース』『内村さまぁ~ず』のDVDを発売しているSony Music Directだ。内P以降、繋がりが出来ているのかな。

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