菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『流れ星 inエンタの味方! 爆笑ネタBEST10』

流れ星 in エンタの味方!爆笑ネタBEST10流れ星 in エンタの味方!爆笑ネタBEST10
(2008/07/02)
流れ星

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漫才は、自由だ。ネタがどう展開したとしても、ある程度の不条理は話術によって正当化される。実際にはありえない妄想も、動きで表現することで観客に提示することが出来る。どれほど無茶苦茶な流れがあったとしても、面白ければ許容される。話術と動作だけで面白さを表現することの出来る漫才は、他のどんな演芸よりも自由なスタイルだと言えるだろう。

そんな漫才の自由さを、今最も有効活用しているだろう若手漫才師が、流れ星だ。

流れ星の漫才は、いわゆるオーソドックスな漫才とは対極に位置している。「日本を鎖国して遊園地のメリーゴーランドを大名行列に」「献血プリント倶楽部っぽくする」「マグロの一本釣りを二人で表現する」など、いわゆる漫才師的なテーマではない、独特の世界観を持った漫才を得意としている。漫才師としての話術は足りないが、それによって生じる粗雑感が、二人の漫才に拍車を掛けており、結果としてプラスとなっているのも面白い。

そんな流れ星が初めて発売した単独DVD『流れ星 inエンタの味方! 爆笑ネタBEST10』。毎週、三組の若手芸人がテーマに沿ったネタを披露する番組『エンタの味方!』の中で、彼らが披露してきた19本の漫才の中から、ファンが選んだ10本の漫才を拾い出し、ランキング形式で収録している。

収録されている漫才は、どれもこれも濃厚かつ後味の良いものばかりで、とても心地良い。個人的には『運動会』をオススメしたい。「運動会の疲れを温泉で癒す」という無理矢理な構成もさることながら、露天風呂までゴルフカートで移動するという展開がたまらない。あと『バレンタイン』も良い。「尻の穴からチョコレートの入ったカプセルを突っ込む」という傍若無人な未来のバレンタインの設定が、とことん狂っているネタだ。誰が考えたんだ? 『夢』の日本を鎖国させるネタも良いなあ……。

そして、特典映像にはライブで披露したボスニア・ヘルツェゴビナをテーマにした漫才と、番組で未放送の『オススメ』漫才が収録されている。ネタは「献血」。三年前にオンエアバトルで観たネタだが、いや、下らないなー。

ちなみに、Amazonのランキングを見ると、どうやら本作は「ハマカーン編」「キャン×キャン編」を大いに突き放した売り上げを見せているらしい。先日、爆笑レッドカーペットで見せていた“アフレコ一発ギャグ”が高く評価されたのだろうか。


・本編(41分)

『エンタの味方!』で披露した漫才のうち十本を収録。

・特典映像(10分)

『未放送ネタ』(「ボスニア・ヘルツェゴビナ」「オススメ」)