『サンドウィッチマンのエンタねた Vol.1』発言集
サンドウィッチマンのエンタねた Vol.1 エンタの神様ベストセレクション [DVD] (2008/09/19) サンドウィッチマン 商品詳細を見る |
レンタルビデオで『サンドウィッチマンのエンタねた vol.1』が旧作扱いになっていたので、借りてくる。タイトルで分かるように、サンドウィッチマンの二人が『エンタの神様』で披露していたコントを収録したベスト集だ。そういえば先日、サンドウィッチマンと同様に『エンタの神様』を主戦場にしている東京03がキングオブコントの覇者になったけど、彼らもまた『エンタねた』DVDをリリースしたりするのだろうか。……ちょっと期待したい。
収録されているネタは全部で七本。彼らが2005年5月に番組で初めて披露したコント『ピザ屋』から、2006年11月に披露したコント『街頭インタビュー』までを収録している。奇しくも、M-1グランプリ2007で披露した二本のネタが、今作のオープニングとエンディングに座しているわけだが、やはり意図してのことなのだろうか。ちなみに、レンタル版には収録されていないが、特典映像には「エンタの神様」総合演出の五味一男とサンドウィッチマンが対談している様子を収録しているらしい。見てみたいような、見てみたくないような。
当時の彼らによる、まだまだ未完成なネタの数々を堪能するのも良いが、やはり今作の見どころはネタとネタの間に収録されている、サンドウィッチマンによるコメントだろう。当時の自分たちが置かれていた状況、心境を明け透けに語っているのだが、とにかくやたら興味深かった。サンドウィッチマンがM-1で優勝を果たして以後、彼らの自伝本『敗者復活』を取り上げていたブログは幾つかあったが、このコメントを取り上げていたブログが皆無だったように思うので、今回これをまとめてみることにした。タイミング的にはかなりの後出しになるが……まあ、良いじゃない。
話は一本目のネタ、『ピザ屋』から。サンドウィッチマンの二人は、ライブでこのネタを見た「エンタの神様」スタッフによって拾い上げられ、番組に出演した。それから二年後の十二月、彼らはこのネタでM-1グランプリを制覇することになる。当時のコントとM-1決勝の漫才を比べると、伊達ちゃんのツッコミが明らかに違っていて、なんだか面白い。
富澤「その年ダメだったら辞めようと思って、色んなライブ出てるときだよね」
伊達「浅草の雷ライブというのがありまして、東洋館っていう劇場でやってて……そこに、「エンタの神様」さんのカメラが入ってたんだよね。そこで、このネタをやってほしいって言われたんです。だから、僕らオーディション組じゃないので……うん」
富澤「何個かその時ネタ見せで出したんですけど、「ん~」みたいな感じだった(爆笑)」
(略)
伊達「そのおかげで、僕らはお笑いを辞めずに済んだという……そういうネタでございます」
スタッフ「そういう意味でも、M-1の……」
伊達「そうですね。M-1の決勝で、もう、このネタで落ちたらしょうがないなっていうネタなんで」
続いて、二本目のネタ『ガソリンスタンド』について。サンドウィッチマンのネタの中でも、かなり評判の良いネタなのだそうだが、実はこのネタ、富澤さんがお笑いを初めて最初に書いたネタなのだそうだ。なかなか面白いけれど、ちょっとさまぁ~ずの雰囲気を感じさせられる。大好きなんだろうなあ。
富澤「僕がお笑い始めて一番最初に書いたネタです。で、弱冠いろいろ変えて、窓を拭くっていうのを……エンタ用に足した」
伊達「最初のネタ何だっけ、作ったヤツ。「オーライオーライ、ストライク」みたいなヤツあったよな」
富澤「もあったし、何パターンかあった。全然面白くない……」
伊達「この頃からね、僕の衣装がほぼ一つにまとまってきた(爆笑)」
富澤「大体それしか用意されなくなってきた」
(注:スタッフは当時、伊達=チンピラのイメージをつけようとしていた)
その後『引っ越し』『刺された男』と、恐いイメージをどうにか植え付けようとするスタッフの努力(?)を感じさせられるネタが続く。ちなみに、『刺された男』で初めて伊達ちゃんの衣装が初めて変わるのだが、その理由は「(穴を開けたり血のりをつけたりして)衣装を汚したくなかったから」だそうだ。面白いなあ、裏話。そんなこんなで、順調に「エンタの神様」の舞台へと立ち続けていたサンドウィッチマンだが、ここでクビの危機に瀕することとなる。年末特番で披露したコント『年越しそばの出前』が、ダダ滑りしてしまったのだ(このネタは後に『サンドウィッチマンライブ2008 新宿与太郎行進曲』で、スベったネタとして取り上げられている)。その時のネタについて、彼らはこう語る。
伊達「2005年の12月31日に」
富澤「大抜擢ですよ」
伊達「これはね、僕らがその、テレビでネタをやり出した年の年末に、生放送で「お笑いネタのグランプリ」っていう、凄い大規模な……東京ビッグサイトで、一般の人千人入れて。で、ナマでネタをやる、それを全国ネットで流すっていう……画期的な番組に、僕ら出さしてもらったんだよね。アンタッチャブルさんから、陣内さんから、青木さやかさん……凄いメンツの中に、サンドウィッチマンと磁石っていうね。うん」
富澤「当時あんまり知られていない」
伊達「知られていない二人が入っていて」
(略)
伊達「懸けてましたからね、このネタに。それがですね、ダダズベるという……驚異的な結果に」
富澤「「誰?」みたいな」
(略)
富澤「まあ、元々は『ピザ』のネタの蕎麦バージョンですから、元は良いので、いや、確かに良いネタなんですよ。たぶん、たぶんね」
伊達「「T-BOLANか!」って」
富澤「「T-BOLANか!」で、シーン!って(爆笑)」
(略)
伊達「これで終わるかな、と僕は……」
富澤「すべてが終わったなって、ちょっと……」
伊達「「さよなら」って(爆笑)」
このダダスベりから八ヶ月経って、ようやくサンドウィッチマンの新ネタがオンエアに乗ることになる。ネタのタイトルは『母からの手紙』。チンピラっぽい見た目の伊達ちゃんが、遂に刑務所へと入ってしまう。
伊達「これはですね、このネタに関してはですね、たぶん僕が作っている筈です。手紙ネタは」
富澤「うん。だいぶ伊達くんが作ってますねえ」
(略)
伊達「あのー、普段はねえ、まあ基本的に富澤が全てネタを書いて、で、二人でやりながらネタを作っていくんだけど、このネタに関しては僕が」
富澤「まあ、八割方あなたが作ってますね」
伊達「で、ダメだっていうところを全部抜かれ」
富澤「ははは(笑)」
そして、M-1決勝予選で披露されたネタの原型である『街頭インタビュー』が放送される。個人的には、このネタに関する話がかなり面白かった。裏話というのは、まさにこういう話のことを意味するのだろう。
伊達「えー、『街頭インタビュー』!」
富澤「はい」
伊達「このネタはですね、あのー、まあ知ってる人も多いですね。M-1グランプリの決勝で、まあやってますよ」
富澤「決勝一発目で」
伊達「一発目でやってます。まあ、ちょっと変えてますけどね。ただ、これも「エンタ」に出るためのネタですから。あの、手紙ネタでね、けっこう良い感じになって」
富澤「こういうテンポのを作りたいって」
伊達「そうそうそうそう。ボケ・ツッコミ、ボケ・ツッコミみたいなね。うん。それでまあ、あのー……このアンケート、インタビューのネタが出来て。で、そのインタビューのネタが、M-1に行けるネタだった」
富澤「更に研ぎ澄ましてM-1で……」
伊達「そうそうそう。だから……本当に、このネタには助かってる」
富澤「助かってる(爆笑) ……助けられてるよねえ」
伊達「おお、随分あんなあ助けられてるネタ。『ピザ』と、やっぱ『インタビュー』なんだね。この二強ですよね、僕ら。トップ、ツートップ」
富澤「まあ、「エンタ」のおかげですね。M-1で一発目で一位を取ったっていうのは」
伊達「改めて感謝ですね」
富澤「これの時はまだ「焼きたてのメロンパン」入ってない?」
伊達「いや、入ってない入ってない。あれ、もう寸前ですから。M-1の。「ぴんから兄弟」も入ってないですよね?(スタッフに確認)入ってないですよね。けっこう入ってないのあるよね」
富澤「M-1のネタを観た人はアレかもしんないけれど、それの元ネタですね」
伊達「そうだね。こっから漫才風にアレンジして、練り上げたのがM-1のネタ」
スタッフ「これでも、みんなで作ったネタだよね?」
伊達「そうそうそうそう」
富澤「あ、血液型のくだりが……」
伊達「A.A型、B.O型とかってヤツ?」
富澤「あれのボケをいただいて……そこはもう、作家さんにいただいたとこなんですけども。あれを見たときに、「あ、もうこれ完全にウケるネタが出来る」と」
伊達「まあー、あれはけっこう、あのボケは相当面白いからねえ」
富澤「あれ見た瞬間に「来た!」と思ったねえ」
伊達「「来た!」と思った?」
富澤「「これは行った!」と」
伊達「……行ったの?」
富澤「行って、来たなと」
伊達「行って来たの?」
富澤「行って来たなー、と」
伊達「何処に行って来たんだよ(笑)」
・本編(約50分)
『ピザ屋』『ガソリンスタンド』『引っ越し』『刺された男』『年越しそばの出前』『母からの手紙』『街頭インタビュー』
※レンタル版なので特典映像は無し