菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『K2MT-0001』(勝又)

K2MT-0001 [DVD]K2MT-0001 [DVD]
(2009/12/16)
勝又

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元マチコの勝又伸吾と元コンツの勝又誉文によって結成された兄弟コンビ、勝又による初めてのDVD作品。スタッフの笑い声をまったく足さない映像コントが十二本収録されている。『完売劇場』に似た雰囲気で、笑えるといえば笑えるし笑えないといえば笑えない。好きな人は好きなんじゃないだろうか。個人的には嫌いじゃない。でも、じゃあ好きなのかと聞かれると、ちょっと考える。「面白い」「面白くない」を決定する以前の、「面白くなりそう」という段階なんじゃないかと思う。そんな彼らが生み出している笑いを簡単に説明するなら“アイデンティティの破壊”だろう。競走していた筈が中盤あたりから目的が投げっぱなしになる『F-1』、将棋で争っていた筈がだんだんと方向性が歪んでいく『将棋』、餅つきの掛け声のリズムに合わせて全てが崩壊する『もちつき』など、とにかく既存の状態が壊されるという展開のコントが印象に残っている。こういうスタイルのネタは、その芸人のセンスに大きく左右されるイメージがあるのだが、彼らの場合はどうだろう。とりあえず、妙な味はあると思うので、このスタイルを貫き続けてもらいたい気はするのだが。……って、また偉そうだなあ。

ちなみに、今作の特典映像には、三遊亭楽太郎師匠が今作に対する愛のダメ出しをするという映像が収録されている。楽太郎師が勝又兄弟の父親に御世話になっているという背景があるからこそ成立しているが、この状況も何かが崩壊している様に見えて、なんだか面白い。なお、殆ど笑顔を見せることなく、真剣な眼差しで今作の映像を見つめる楽太郎師のダメ出しは、とてつもなく真っ当だった。うーん、マジメだ。


・本編(69分)

「遊び」「F-1」「野球」「2人部屋」「競り」「将棋」「囚人」「野球」「もちつき」「登校日」「野球」「遊び」

・特典映像(37分)

三遊亭楽太郎師匠 勝又に愛のダメ出し」