菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『グレイテストホーム ~我が家ベスト~』

グレイテストホーム~我が家ベスト~ [DVD]グレイテストホーム~我が家ベスト~ [DVD]
(2011/04/06)
我が家

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ロッチ、ハライチとともに次世代のワタナベエンターテインメントを担う存在として期待されているお笑いトリオ“我が家”が結成されたのは、2003年のこと。杉山と谷田部によるお笑いコンビ“ルーキーズ”に、俳優志望の坪倉が加入するカタチで結成された。ちなみに、ユニット名である我が家は、トリオを結成した居酒屋の名前に由来している。

我が家が注目されるようになった大きな要因として、彼ら独自のスタイル“ローテーション漫才”が高く評価されたことが挙げられる。コンビによる漫才とは違い、トリオの漫才はどうしても三人の関係性が複雑になってしまいがちで、それ故に「これぞトリオの漫才!」と言い切れるようなフォーマットが生まれにくい。そんな状況下で我が家が編み出した“ローテーション漫才”は、三人のうち二人がボケ役とツッコミ役を担当し、ボケとツッコミの応酬ごとに三人の立場がくるくる入れ替わるというものだった。正直なところ、ネタ自体に新鮮味は感じられなかったものの、その印象的な入れ替わりスタイルときっちり笑いの数を稼げるコンスタントさが、評価に繋がったのではないかと思われる。良くいえば、安心して笑える。悪くいえば、ただただ無難。

本作『グレイテストホーム ~我が家ベスト~』は、そんな我が家のベストネタを新撮して収録したDVDである。彼らが出演していたコント番組「爆笑レッドシアター」で披露していたコントを中心に収録しているようで、見覚えのあるネタが幾つか見られた。また、特典映像には、杉山の休養中に作られた谷田部と坪倉のコンビネタ『穴に落ちたヤツ』も収録。我が家は以前に「爆笑オンエアバトル」出演時のネタを収録したベストDVD『爆笑オンエアバトル 我が家』をリリースしているが、今作はそれ以後の彼らがどういうネタを作ってきたのかが分かる、まさに近年ベストと呼ぶに相応しい内容だ。本当に我が家のことが好きだという人には、いい作品だろう。

ただ、がっつりとコントを観たいという人には、あまり向いていない。というのも、本編に収録されているコントの多くは、その演じている時間がことごとく短いからだ。ショートネタブームの影響もあるのだろうが、それ故に世界観を掘り下げていくようなタイプのコントがなく、ただただ表面的な笑いが繰り広げられていくのみで、些か味気なく感じられた。思えば、我が家のコントには、彼らならではの方針があまり見られない印象がある。我が家だからこそ見せることの出来る世界観の構築が、今後の彼らが目指すべき方針といえるのかもしれない。……って、前にも同じようなことを書いた記憶があるのだが……デジャヴか?

あ、あと個人的に特典映像の「絆を深める原点回帰ツアー」が、けっこう楽しくて良かった。ウケ狙いじゃない芸人さんのロケーション映像は基本、ぬるーい面白さが延々と漂っていて好きだったりする。うーん、良かったなあ。


・本編(51分)

「傷心旅行」「不動産」「ローテーション漫才」「引越しのエンターテイメント」「梅田モモ」「ダンプ杉山」「花嫁の父」「やめろって言ってるだろ」「Dr.ホシ」「キャビンアテンダント」「杉新太郎」「万引きGメン」「ハプニング集」

・特典映像(32分)

「穴に落ちたヤツ」「絆を深める原点回帰ツアー」「3文字寝言ゲーム」