菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

エレ片コントライブ『コントの人5』(850字)

エレ片コントライブ ~コントの人5~ [DVD]エレ片コントライブ ~コントの人5~ [DVD]
(2012/03/07)
エレ片

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「青春」とは何か。手元の辞書を引いてみると、【若い時代】とある。更に、カッコして【十代の後半から二十代までの時期を差すことが多い】とされている。なるほど。つまり、どんな人間にとっても、若い時代こそが青春ということだ。ところが、我々が青春という言葉をイメージするとき、それは不思議とドラマチックになりがちだ。例えば、スポーツに汗を流している姿だとか、若き恋人と一緒に下校する夕暮れ時だとか、そういった風景をイメージしてはいないか。無論、そんな青春を過ごした人間も、世の中には数多く存在していることだろう。しかし、ジメジメと陰湿な時間を貪るだけの青春を過ごしてきた人間も、決して少なくはない筈だ。

エレキコミック片桐仁によるユニット“エレ片”のライブ「コントの人5」において披露されているコント『モテボアドッグス』は、そんなジメジメとした青春時代を過ごしている男たちの卑屈な姿を描いている。彼らは、モテ連(モテないやつクソ連盟)なる組織を結成し、「モテるときは一緒」「先にモテたやつには死を」「女は性の道具」を鉄の掟としている。その活動内容は、クラスの女子たちの交際関係を調査する、最近やっているエロい妄想を発表する、ユニクロに服を買いに行く訓練をする、などなど。そんなモテ連の一人が、実はモテているのではないかという疑惑が浮上。それはやがて確信に変わり、組織は少しずつ崩壊へと向かっていく。

このコントに限らず、エレ片は常に青春の愚かさと下らなさを演じ続けてきた。それは時に、現実を見ずに過剰な自信だけで生きている出山という男として、ブサイクな女子高生音楽ユニット・シトラスラベンダーとして、華やかな青春に生きるカップルを描いた漫画として、ステージ上に現れる。だが、彼らはそれを卑下することんがく、愛すべき存在として描いている。何故ならば、彼ら自身もまた、そんな情けない青春の中に生きていたからだ。五回目のライブとあって、多少のマンネリ感も生じてきたが、それでも彼らの陰湿な青春は変わらず居心地がいい。


・本編(80分)

「KAATA」「オープニング」「モテボアドッグス」「また帰ってきた出山」「ぽよ(ハート)」「恩返し」「ニャゾの転校生」「エピローグ」

・特典映像(13分)

エレ片スポーツ大賞」