菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『鬼ヶ島単独ライブ 地獄への通学路』

鬼ヶ島 単独ライブ「地獄への通学路」 [DVD]鬼ヶ島 単独ライブ「地獄への通学路」 [DVD]
(2012/09/26)
野田 祐介、大川原 篤史 他

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キングオブコント2011」ファイナリスト、鬼ヶ島による第二回単独ライブ『地獄への通学路』の模様を収録。いきなりの文句になるが、舞台でのコント映像と幕間映像を分断してしまう意味がどうしても理解できない。なにかしらかの事情があるのかもしれないが、オープニング映像とエンディング映像まで分けてしまうのはやり過ぎだ。せめて、オープニング映像とエンディング映像はライブ映像と一緒にして、その他の幕間映像を別途に収録という構成にすべきだった。この違和感はあまりにも酷い。

違和感といえば、副音声もよく分からない。鬼ヶ島・ドランクドラゴン北陽の三組による副音声コメンタリーと書いておきながら、「鬼ヶ島の副音声」「ドランクドラゴンの副音声」「北陽の副音声」「鬼ヶ島・北陽の副音声」「鬼ヶ島・ドランクドラゴンの副音声」と、副音声に参加しているメンバーがネタごとに違うというのは、どういう意図があってのことなんだろうか。前作『恐怖学園』も似たような構成になっていたが……ギャラの問題なんだろうか。よく分からない。あと、幕間映像はともかくとして、特典映像に収録されている初単独ライブ『ファンタジーゾーン』に副音声が無いというのも、サービス精神としては如何なものか……。

などなどの文句を並べ立ててみたが、これらはあくまでもDVD作品としての本作に対する文句である。本編について、特に文句はない。むしろ充実した内容になっている。なにせ、オープニングコント『門とカラス』が、いきなりとってもサイコーだ。校門に扮したアイアム野田と、カラスに扮したおおかわらが、校則違反の生徒を処刑せんとばかりに待ち構えている……どういう生活を送っていれば、こんな設定が思い浮かぶのか。そんな二人(?)の元にやってくる校則違反者の生徒が明かす二人の正体も、これまた実にたまらない。彼らの不気味な世界観とバカバカしさが混在した、オープニングに相応しいコントといえるだろう。

その後も、奇妙で不思議なコントが続く。一般の学生たちが繰り広げる運動会に、謎の超能力を持つ不気味な少年が現れる『運動会』は、笑いどころがないのに笑ってしまう彼らならではのコント。後味の切なさすら、笑える。観ると呪われてしまうビデオを見てしまった教師と生徒の姿を描いた『呪いのビデオ』は、これまた不気味なテーマにも関わらず、登場人物がやたらと普通のトーンなのが面白可笑しい。呪われた順番を巡って、自然に先輩後輩の関係が作られていく展開が下らない! その中でも素晴らしいのが、無実の罪で九年間も廊下に立たされ続けている生徒の真実が明らかになる『九年間』というコント。「反省してます!」「反省が伝わってこない!」というやりとりは、なにやら日本と某国のやりとりを彷彿と……こういう知的なコントも出来るんだな!

これらの素晴らしいコントがあったからこそ、DVD作品としての出来の悪さは非常に残念だった。同じ事務所の東京03ラバーガールはちゃんとライブ映像と幕間映像を一緒にしているんだから、そこばっかり贔屓しないで、鬼ヶ島のDVDもそういう風にしてもらえたらなあ、と切に願う次第である。ちゃんと面白いんだから、周りが支えてあげないと……。


・本編(98分)

ライブ:「門とカラス」「九年間」「運動会」「呪いのビデオ」「教育委員長の娘」「スタディボーイ」

幕間映像:「オープニング」「地獄ドラマチック「外来種」」「地獄ラジオ」「呪いのビデオ」「呪いを解くビデオ」「エンディング」

・特典映像:鬼ヶ島発単独ライブ『ファンタジーゾーン』(42分)

「オープニングVTR」「しゃべる箱」「大好きなお母さん」「母ちゃんとよしお」「父の思い出」「さわやかテニス」

・音声特典

「鬼ヶ島・北陽ドランクドラゴンによる副音声コメンタリー」(本編ライブ映像のみ)