菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『COWCOW CONTE LIVE 6』

COWCOW CONTE LIVE 6 [DVD]COWCOW CONTE LIVE 6 [DVD]
(2013/07/24)
COWCOW

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ライブを愛することから“劇場番長”との異名を持つお笑いコンビ、COWCOWが2013年5月に開催した単独ライブを収録。ライブは東京と大阪で行われ、本編には大阪公演の模様が収められている。なお、2014年の単独ライブを収めたDVD『COWCOW CONTE LIVE 7 ~芸歴20周年記念盤~』が、既に発売中である。まだ確認していないが、彼らの芸人活動20周年を記念した内容になっていて、特典映像には過去のライブDVDに収録されている数々のネタの中から二人が選んだお気に入りのネタが再録されているらしい。どんなネタが選ばれているのか、今から楽しみだ。

COWCOWといえば、漫才・コントの枠組みに留まらない遊び心に満ちたネタが印象的だが、本作でもその魅力は存分に発揮されている。迷信の理由を歌にして熱唱する『アイアンメイシン』でしっかりオープニングを盛り上げたかと思えば、子どもの頃にフザケてやっていた遊びをダンスバトル形式で披露する『ショーモナイダンスバトル』で観客の視線をガッチリ釘付けに。アクティブなネタが続いたところで、テンションがグッと下がってしまうメルアドを紹介する『メールアドレスでガッカリ』でじっくりと楽しませる。その後も、普段はツッコミな善しが本領を発揮する『スロット北の国から』、モニターに映し出されるイラストに多田が怒りをぶつける『クイズ怒ってください』など、いちいち面白いオリジナルネタが続く。しかし、最後はしっかりと『漫才』で場を引き締める。突出したセンスを見せつけず、しかしベタでありがちな笑いには逃げず、しっかりと笑わせてもらったという満足感の残るステージ。流石はベテランだと言わざるを得ないネ。

ただ、その一方で、ちょっとネタの方向性を子どもに寄せ過ぎな印象も受けた。以前から、老若男女に理解されるような、分かりやすくてバカバカしいネタを生み出していた彼らではあるのだが……。例えば、どっかで見たことのあるキャラクターたちがショートコントを繰り広げる版権ギリギリアウトな『少年とネコ型ロボット』、学校のトイレに住んでいる幽霊が他所の学校から来た別の幽霊に乗っ取られそうになる『トイレの花子さん』、担任教師がクラスの漢字たちに苦言を呈する『漢字学級』には、子どもの視点を強く感じられた。2012年に『あたりまえ体操』が大ヒットして、子どもの観客が増えたことを考慮しての対応だったのではないかと思うのだが、どうだろう。もちろん、だからといってネタのクオリティが低下している印象はなく、先に挙げたネタと同様にとても面白かったのだが。

それ以上に気になったのは、『コント「あたりまえ体操」の裏側』である。

『コント「あたりまえ体操」の裏側』は、文字通り『あたりまえ体操』が生まれるまでの過程を描いたコントだ。とはいえ、そこにファンタジーの要素は一切ない。具体的に書いてしまうとネタバレになってしまうので控えるが、徹底的にリアルに描かれている。もはやドキュメンタリーの領域に至っているといっても過言ではない。問題は、芸人のオフショットの姿をどうしてコントで演じたのか、という点である。もうちょっとはっきり言おうか。『あたりまえ体操』をきっかけに観に来ている観客もいるだろう舞台で、どうして『あたりまえ体操』が演じられるまでの苦労をリアルに描いたコントを演じたのか。私にはその心理を察することは出来ないが、あの笑いにストイックな多田がこのコントを演じたという事実に、正直なところ少し動揺してしまった。当時、よっぽど心身が疲弊していたのだろうか……。

特典映像には、ライブの幕間映像とお客様動画コメント集を収録。……お客様動画コメント集って、どうやって楽しむのが正解なんだろう。ライブ会場に来ていたお客さんがCOWCOWにコメントしている姿をDVDで鑑賞する私……構造が複雑すぎる! 幕間映像では『ボサノバお経』がお気に入り。ボサノバの美しいメロディでいい雰囲気になっているのに、その歌詞が……ああ、この紛れもないバカバカしさ。落ち着くわあ(二つの意味で)。


■本編【100分】

「アイアンメイシン」「ショーモナイダンスバトル」「少年とネコ型ロボット」「メールアドレスでガッカリ」「トイレの花子さん」「スロット北の国から」「漢字学級」「クイズ怒ってください」「コント「あたりまえ体操」の真実」「漫才」

■特典映像【16分】

「もじどうぶつ」「オムライス」「ボサノバお経」「LIVE会場限定お客様動画コメント集」