燃えろU-1グランプリ…?『CASE01「取調室」』
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2007/08/17
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 76回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
『CASE01「取調室」』は、いわゆるワンシチュエーションコメディの形式が取られた、ショートコントライブだ。出演している様々な役者たちが、暗転の度に違うキャラクターを演じ分けている。勿論、舞台は全て同じ「取調室」。ただ、設定はまるで違う。さっきまで通常の取調室だったところが、次の瞬間にはイメクラになり、また通常の取調室になったと思ったら、今度は放送作家の妄想の中のストーリーだったり……なかなかに展開が目まぐるしい。おかげで、ゆっくり笑っていられない。最初のコントでげらげらしていたら、次のコントが始まってくすすと笑って、また次のコントでにやにや……一つとして同じパターンの笑いがないもんだから、忙しくって仕方ない。ただ、笑いのクオリティが全体を通して似たり寄ったり、安定があるにも程があるってなくらいなもんだから、まったく疲れない。まるでマラソンみたいに、一定のペースを崩さず、しっかり笑わせてくれる。流石は公共の人々に受け入れられないとやってらんない放送作家、観客にペースを合わせた作りを心得ている。うーん、凄いな。前に小堺一機と柳沢慎吾の合同ライブを見たときは「タレントの底力を見た!」と感動したが、今回は「テレビの人間だって舞台に立ち向かえるんだ!」と感動したなあ……と、作家ばっかり褒めても仕方が無い。役者についてもしっかり触れよう。
今回の役者陣の中で、とにかく印象に残ったのが、平成ノブシコブシの二人だった……って、こういうことを書くと「なんだ結局、役者じゃなくて芸人の話じゃないか」と思われるかもしれないが、実際に印象に残ったのがこの二人だったのだから仕方ない。特にミスターハイテンションこと吉村崇の活躍が素晴らしかった。なんというか、バラエティ番組での吉村が、そのまんま舞台で暴れまわっていたと言えば、分かりやすいかもしれない。演じるキャラというキャラが、吉村以外の何者でもないのだ。あのキビキビした動きと、妙に良い声で攻められたら、もう笑うしかないじゃないか、という話……というか、最後に吉村がアレをやっちゃってる時点で、もう、この舞台全体が吉村のネタの前フリと言っても過言ではなかったんじゃないか? その他の出演陣は、まあ、どんぐりの背比べだったかな。うーん、凄い長身のどんぐりだったけど。佐藤二朗の胡散臭さ、八十田勇一の技巧的演技の上手さ、つぐみの七変化っぷり……いやー、上手かった。あ、この公演にはマギーと福田雄一も出ているのだけれども、この二人も味のある演技で、良かったなあ。特に福田雄一、初舞台にしてはオイシイところ持ってってた。作家の醍醐味でつ。
この舞台、なんでもプラチナチケットになったらしいのだが、うん、それだけの価値は確かにあると思った。こんなオモシロオカシイ舞台、見逃すのは勿体無いよなあ。いや、DVDが出ちゃったから、見逃すもナニもの話だけど。しかも副音声付だもんなあ。舞台のチケット取るより、DVD買ったほうが得じゃないって気持ちになるよなあ(出不精)。まあ、それは置いといて。いわゆるテレビのスタジオコントが好きな人は、見ておいて損はしないと思います。とりあえず僕は、2007年傑作選にこの作品を勝手にエントリーしたぞ!
・出演 マギー、佐藤二朗(ちからわざ)、八十田勇一、つぐみ、徳井健太・吉村崇(平成ノブシコブシ)、福田雄一 ・演目 「説明下手な男」「Opening」「元カレ」「イメクラ取調室」「作家・八木の世界」「気配り」「ロボット刑事ゲイ」「奥さん」「作家・八木の世界2」「新人研修」「平泉W」「署長」「作家・八木の世界3」「盗塁王」「チン毛」「ダウトを探せ!」「作家・八木の世界4」「Ending」 ・副音声 福田雄一とマギーによるコメンタリーを収録 ・収録時間:103分 ・詳細:2007年3月18日、新宿THEATER/TOPSにて収録
個人的に「盗塁王」が面白かったなあ……。