菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

イッちゃって〜ヤッちゃって〜『ご指名・ご購入ありがとうございま〜す! 〜感謝してます編〜』

とろサーモンが、自身にとって初めての単独DVDを発売した。その名も『ご指名・ご購入ありがとうございま〜す! 〜感謝してます編〜』という。なんだか、長いタイトルのDVDだ。最近、ボケ役の久保田がおさわりパブで働いていたことが話題になっているので、それに便乗したタイトルなのだろう。裏ジャケには、その当時を髣髴とさせる服を身に着けた久保田の姿があるので、ほぼ確実だろう。その裏ジャケには、「前代未聞!? 本編約70分<特典約80分」という煽りが見られる。よく分からない宣伝文句だ。そういえば、同じYOSHIMOTO WORKS発のDVD『NETA JIN』(陣内智則)にも、「マルチアングルだよ。」という、よく分からない文句が書かれていた。どうもYOSHIMOTO WORKSは、何か勘違いしているような気がしないでもない。
収録されているネタは、本編に漫才が六本・コントが六本。それから、特典映像に『コント:不動産』と『ショートコントSHOW』を収録している。ちゃんとライブで収録した演目だから、特典映像に分ける必要が無い気がするのだが……どうしても「本編<特典」という謳い文句を作りたかったのだろうか。やはり、何か勘違いしているような気がしないでもない。
肝心の内容は、なかなか良い感じ。M-1向けに作ったのか、修学旅行のことについて先生に質問する生徒のやりとりを描いた『修学旅行』、コンビニ店員に対してボヤく村田に対して久保田が苦言を呈する『コンビニ店員』、久保田が自身の父親をナンセンスに弄くり倒す『父・正雄』など、“シカト漫才”とは違ったオーソドックスな漫才が何本か見られたことが、なんだか嬉しかった。特に、久保田が村田の母親を好きになってしまったという漫才『好きな人』は、久保田の生理的な気持ち悪さ・変態性が狂気的に滲み出ていて、物凄く気持ち悪かった……けれど、それがなんだか面白い。特に「ムラリンのあるあるネタ〜」以降は、飛躍しすぎた展開に、ニヤニヤしっぱなしだった。
一方のコントは、漫才に比べると安定を感じた。漫才よりも、二人の狂気性を前面に押し出すことが出来るからだろうか。家庭教師の言うことを聞かずに自由気ままな言動を繰り返す小学生の暴走を描いた『家庭教師』、一方的に送られてくる情報に村田がイライラしっぱなしの『ラジオ中継』、久保田のイジメられっ子っぷりがリアルだけれどバカバカしい『学校』(ちょっとバナナマンの『朝礼』っぽいかも)など、とろサーモンワールド全開。その中でも、こってりとした彼らの世界観を堪能できたのが『こけし』だ。あまり多くを語れないコントなので、どういうコントなのかは、実際に体感していただきたい。ただ、一言だけ言わせてもらうなら、これはラーメンズのパクリではないからね。
2005年に“シカト漫才”を作り出し、その変態的な世界観を封印しようとしたかに思えたとろサーモン。しかし、今考えるとそれは彼らの罠だったのではないか。彼らは、その変態性を打ち消し、普通の芸人になったフリをしながら客を引き寄せ、近付かせたところで一気にその変態性を見せ付けたのだ……って、それコートの下が全裸の変態オヤジと同じじゃないか! ……いや、変態という意味では、似たようなものか……?

・本編(72分)
『修学旅行』『家庭教師』『タクシー』『ラジオ中継』『コンビニ店員』『ヤンキー』『父・正雄』『怖い話』『好きな人』『学校』『学生時代』『こけし』
・特典(79分)
『コント 不動産』『リアルコント 不動産』『ショートコントSHOW』『村田秀亮・27歳・夏』『箱男』『催眠術』『久保田軍団ドッキリ旅行』

ところで、mixiとろサーモン久保田さんと思われる人がいる。芸人さんなので、さぞ凄い数のマイミクがいるのだろう……と思っていたら、マイミク四人だった。……偽者なのか本物なのか、分からないところがなんとも……。