菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

緊張の糸が切れたかな?『チュートリアリズム2』

チュートリアリズムII [DVD]

チュートリアリズムII [DVD]

今年もM-1グランプリの決勝戦が行われる時期がやってきた。思えば、去年の大会のことは、殆ど覚えていない。大会の出場メンバーは覚えているのに、皆が何のネタをやっていたのか、さっぱり思い出せない。おかげで、僕にとっての笑い飯の最新ネタは未だに『ハッピーバースデイ』だ。まあ、笑い飯のことは、どうでも良いのだけれど。
そんな去年の大会で優勝したコンビ、チュートリアル。そういえば、何のネタをやっていたっけ? 『バーベキュー』は一昨年でしょ? ……そうか、去年は『チリンチリン』やったんだっけ。思いっきり笑った記憶があるけれど、どうも思い出せなかった。うーん……つまり、全体的にそんくらいのレベルの大会だったということなんだろう、と思う。そのチュートリアルの単独DVD『チュートリアリズム2』が、M-1グランプリの準決勝戦が行われる直前、12月5日に発売された。さっき気がついたことだけれど、チュートリアルM-1で優勝してから初めてのDVDだ。前作『チュートリアリズム』から、もう一年半になると思うと、なんだか感慨深いものがある。……いや、別に無いけれど。
『チュートリアリズム2』は、ライブの最初と最後に漫才を披露し、その間にコントを披露するという形式になっている。吉本興業の芸人は、こういうライブ形式にしなきゃならないという決まりがあるらしい。いや、知らないけれど。中川家フットボールアワー麒麟も、同じ形式のライブDVDを出している。思えば、M-1の決勝戦に出ている漫才師ばかりが単独ライブDVDを出している気がする。出していないブラックマヨネーズ村八分的に可哀想じゃないか……と、余計なお世話をしてみたり。
さて、感想だけれども。今回のライブは、とにかくコントが“冗長”に感じられた。特に「長いなあ……」と思ったのが、前回のDVDの特典映像に収録されていたコント『鳥将軍』の焼き直しコント『ステーキハウスジロー』だ。同じ展開にちょこちょこ新しいボケを挟み込んでいて、最初はなかなかに楽しめたけれど、基本的には同じタイプのボケが続くため、だんだんと飽きてくる。一体何分あるんだと調べてみたら、なんと二十四分! 同じ展開の鬱陶しいボケに四苦八苦する福田さんの一人舞台が二十四分! そりゃ冗長に感じても、仕方ない。その冗長さをスッキリさせたのが、コント『蛍ヶ丘町サマーフェスティバル』。徳井演じるおなじみのキャラクターの暴走っぷりを、安心して見ることが出来た。いやー……やっぱり良いなあ、あの外人。
とはいえ、コント・VTR通して前作の鋭さが弱まり、緩くなってしまったことには変わりない。……まあ、仕方が無いことなのかもしれないけれど。なにせ、去年一年の彼らはM-1グランプリの決勝戦で好成績を残し、「今年の本命はチュートリアル!」と騒がれたのだ。これまで以上に、芸に気合が入っていても、おかしくはない。……でも、優勝した後でも、その緊張感は残しておいてほしかったなあ(ただ、やっぱりあの外国人は面白かったなあ)。

・本編(138分)
『まるちゃん』『漫才』『東大阪宇宙科学センター』『ボーリング症候群』『ステーキハウスジロー』『蛍ヶ丘町サマーフェスティバル』『漫才』
・特典映像(5分)
『福田へ』

ただ、今回のライブで披露された漫才は流石チャンピオン、良い出来だった。今のチュートリアルは、漫才にベクトルが向いているのかもしれない。……昨日のスピードワゴンとは逆の状態なのだろうか。ちなみに、やっていた漫才は「キュウリ」と「怖い話」でした。「怖い話」は昔のネタの改訂版。懐かしかったなあ。