『ブラックマヨネーズの∞番長』
ブラックマヨネーズの∞(無限大)番長 (2008/09/03) ブラックマヨネーズ 商品詳細を見る |
男には男の世界があるってなことを書いたりすると、フェミニストな人たちに批判されるかもしれませんが、これは事実です。ただ、これは別に男性に限った話ではありません。男には男の世界が在るように、女にも女の世界があるというだけの話です。まったく、こんな細かい説明を書かないと批判されてしまうようなせせこましい時代ですよ(一人で何を言っているんだ)。そんなせせこましい時代の中で、これでもかと男の世界を見せ付けてくれる芸人が、ブラックマヨネーズではないかと僕は思うわけです。はい。
本作はブラックマヨネーズにとって、初めての単独DVDになります。M-1グランプリ2005で優勝してから、今の今まで、一枚も単独でDVDを出していないというのは、なんだか驚きですね。だって、同じ年に四位だったチュートリアルは、その翌年に単独ライブDVDを発売しているわけですから……ひょっとしたら会社から、あまり需要が無いと思われたのかもしれません。まあ、分からなくもないですが。
個人的な意見になりますが、ブラックマヨネーズのネタって、それほどバリエーションに富んでいないと思うんですね。『ZAIMAN ZAI!!』に収録されている漫才も拝見しましたが、基本的に同じようなやりとりで構成されていて。ちょっと、DVD収録には不向きな気はしていたんです(もちろん彼らが面白いコンビだということは、言うまでもないことですよ!)。
そんな彼らが満を持して発売した本作は、『ヨシモト∞』(ネット配信番組)で繰り広げたトークを収録した、いわばトークライブ形式のDVDです。なるほど。そもそも漫才よりもトークに定評があったと言われている彼らが、漫才メインではなくトークメインのDVDを発売するということは、まったくもって理に適っています。なお、本作には、更にDVD用の撮り下ろしロケ映像と副音声も収録されています。関西芸人特有のサービス精神を感じますね。
肝心の本編は、割と予想通りの内容でした。いわゆるトークもののDVDならではのブツ切り編集はちょっと気になりましたが(トークテーマごとに切り分けるんじゃなくて、あるテーマについてのトークの更に面白い部分を抽出するような編集)、バラエティ番組でたまに見かけるブラックマヨネーズの話術が存分に発揮された妄想&コンプレックストークは、確かに彼らの漫才の原形を見ているようで、とても面白かったです。「相撲をもっと面白くするために、負け越しの力士のマワシを細くする」なんて、下らなくて面白かったなー。
そんなトークの幕間には「オナラ番長 小杉竜一」(小杉さんが瓶に溜め込んできたオナラを、他の芸人仲間とゲームで勝負して、相手が負けたら嗅がせる)と「白浜番長 吉田敬」(吉田さんが後輩芸人とともに白浜を練り歩く。小杉さんのツッコミ付)映像を収録。いやー、これは酷いですよ。特に小杉さんのは、生理的にアウトな人が多い気がします。瓶詰めされた他人のオナラを強制的に嗅ぐ……うぇ(嗚咽) ちなみに小杉さんは、本編でもオナラについて熱く語っています。なんなんだ、一体。
特典には、特典映像「健康番長 ブラックマヨネーズ」と副音声「酔いどれトーク」を収録。特典映像の「健康番長 ブラックマヨネーズ」は、ただ単純に、ブラックマヨネーズの二人が健康診断を受け、診断結果で争う……というだけの映像です。それだけです。それだけですが、かなり面白いです。副音声の「酔いどれトーク」は、二人がDVDの映像を見ながら酔っ払っていく様子が収録されています。殆ど本編には触れていません。ひたすら吉田さんが理不尽なグチを言って、小杉さんがそれにキレツッコミを入れていくだけです。これは、期待していたものとは違いましたが、なかなか面白かったです。
テレビでのブラックマヨネーズが好きならば、手を出して問題の無い内容だったと思います。ただ、人を選ぶ内容のような気もします。……まあ、ブラックマヨネーズの本編のようなトークを苦手だと思う人は、まず本作に手を出さないとは思いますが。ちょっとだけ、アクが強いです。関西味というより、やや下衆い雰囲気が漂っています。うーん、まさに番長。まさに男子校。まさにどおくまんプロ(本作のジャケットを描いております)。
こんな女人禁制の世界を、大半が女性という客層の前で披露しているブラックマヨネーズは、とんでもないサディストか、とんでもないマゾヒストに違いないですぜ(なんか吉田戦車風)。
・本編(157分)
「トーク番長 其の一」「オナラ番長」「トーク番長 其の二」「白浜番長」「トーク番長 其の三」
・特典
特典映像「健康番長」(21分)
副音声「酔いどれトーク」