『完売劇場presents 秘宝闇商人 長井秀和』
完売劇場presents 秘宝闇商人 長井秀和 [DVD] (2004/08/25) 長井秀和 商品詳細を見る |
お笑いブーム初頭において、そのブームの一端を担っていたお笑い番組『完売劇場』。その影響を受けてか、関連作品も多くリリースされた。主にDVDである。中でも、多くのお笑い愛好家の心をくすぐったのが、『完売劇場』メンバーを集結させたお笑いライブ「東京腸捻転」のDVDだ。ホーム・チーム、シャカ、劇団ひとり、田上よしえ等の、あまり単独でDVDをリリースしない芸人のネタが収録されているのが、実に良かった。最近では、鳥居みゆきが出演した回のDVDが売れたらしい。時代の流れを感じてしまう。
この作品がリリースされたのは2004年のこと。この年の長井秀和は、ビクターから単独ライブDVDを出し、爆笑オンエアバトル公式ビデオを出し、ネタ本を二冊出版している。かなり活発的なメディアミックスを行っている。長井が『エンタの神様』に出演するようになったことが、少なからず関係しているのだろう。『完売劇場』と長井秀和の人気が、上手く交差してリリースされたのが今作。運命の悪戯によってリリースしたと言えるのかもしれない。だからなんだ。
今作は、『完売劇場』関係のDVDにおいて、唯一「東京腸捻転」及び「東京面断平」(ピン芸人版「東京腸捻転」)の様子を収録した単独映像作品である。まさか、これ一枚きりになるとは。他の芸人さんもリリースすると思ったのだが。かなり楽しみにしていたのだが。願いは叶わず。残念。出してもらいたかったなあ。劇団ひとりとか。田上よしえとか。まあ、別に良いけど。思えばもう、五年も前の話である。
長井秀和がこの作品の中でやっていることは、まあ、いつもの漫談である。毒っぽい。ただひたすらに、毒っぽい。ただ、その毒っぽさはテレビ向けの毒っぽさではない。守らない。攻めている。ただひたすらに、攻めまくっている。それ故に当たり外れも大きい気がするが、そんなことはどうでもいい。大事なのは、その当たりがどれほどの当たりであるかということだ。「もうこれ以上、アザラシのタマちゃんを野放しにさせないために、お腹の空かせたシャチを川に放流します! 上流に一匹、下流に一匹、確実にやります!」。大当たりです。ある意味、長井秀和の従来の毒っぽさが最も引き出されていたのは、この時期だったと言えるのかもしれない。
現在の『完売劇場』には、ホーム・チーム、劇団ひとり、東京ダイナマイト、柳原可奈子、ラバーガールがレギュラーとして出演している。売れ残っているホーム・チームはともかくとして、劇団ひとりが今でもレギュラー出演しているというのは、なにやら不思議だ。一人コント師としてのカンを逃さないためのことなのだろうか。
『完売劇場』関連のDVDは、2006年11月に発売された『完売劇場 VERTIGO』を最後に、リリースを終了している。お笑いブームの流れの中で、だんだんと衰えていくのは芸人だけではない、ということか。ショートネタブームの今、『完売劇場』が再び盛り上がりを見せる日は来るのか。番組の運命や、如何に。……って、リアルタイムで観たことない番組をどんだけ心配しているんだ、僕は。(※『完売劇場』は関東系列放送)
・本編(41分)
#1【2001.10.8】、#2【2002.1.13】、#3【2002.4.28】、#4【2002,7,20】
#10【2002.10.13】、#12【2003.5.5】
・特典映像(20分)
『「面断平」in umu』『THE 撮りおろし“独毒談”“奇怪舞踏”』