菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

トータルテンボス漫才ライブ『アフロの森のおふざけモンキー』

漫才ライブ アフロの森のおふざけモンキー [DVD]漫才ライブ アフロの森のおふざけモンキー [DVD]
(2010/07/21)
トータルテンボス

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爆笑オンエアバトル」チャンピオン大会で前人未到の三連覇を成し遂げて以降、僕の中でトータルテンボスはかなり微妙な存在となっている。確かに彼らは面白いコンビだ。大村がホテルのフロントマンになるネタなど、お腹を抱えて爆笑した覚えがある。でも、彼らが三連覇を成し遂げたときのネタは、はっきり言って微妙だった。それは彼らの最大の持ち味である大村の言葉遊びが光ることなく、ただただ藤田の短所をイジっているだけの漫才で、決して面白くないわけではないが、とても評価できる代物ではなかった。そんなネタで、彼らがアンジャッシュアンタッチャブルタカアンドトシを成し遂げられなかった三連覇という大記録を残してしまったことを、僕は今でも引きずり続けている。それなら、ハイキングウォーキングが優勝した方がずっと良かったじゃないか、と。

トータルテンボス単独ライブ アフロの森のおふざけモンキー』は、トータルテンボスが「爆笑オンエアバトル」チャンピオン大会で三連覇を成し遂げたネタ『占い師』を含む八本の漫才が披露したライブを収録した作品だ。通常、芸人の単独ライブといえば、漫才やコントや企画を交えたバリエーション豊かな内容になるものだが、今作では漫才しか披露されていない。これは即ち、彼らが今現在漫才でやろうとしていることを全て今作にぶつけていることを意味している、と言っていいだろう。

しかし、その割には今作で披露されている漫才は、どうも全体的に弱かった印象。先にも書いた様に、トータルテンボスの漫才といえば大村の言葉遊びが重要な鍵となっているが、今作での大村は非常に控え目で、くすぐり程度の小ボケを連発するばかり。ボケとしての存在感を殆ど見せることが出来ず、その結果、漫才のちょっとしたくすぐりでしかなかった藤田の容姿をイジる場面が必要以上に浮き彫りとなり、そればかりが強く印象に残るようになってしまっていた。この状態が、大村のボケ芸人としての能力低下によるものなのか、藤田のキャラクターを強調していこうという方針の変更によるものなのか、その理由はよく分からない。ただ、今回のライブで披露されている漫才の幾つかが、ボケの弱さをカバーするかのように、きちんとした構成で見せる漫才(便宜的ではなくきちんと事件から解決までを描いた『探偵』と、細かい伏線を終盤怒涛の勢いで回収する『占い師』『避難訓練』は必見)だったことを考えると、どうも前者が原因なのではないかという憶測をせずにはいられない。余計な勘繰りだが。

一方、ライブの幕間映像として収録されている「今日のいたずら」は、今回も絶好調。大村の無駄に考え抜かれたいたずらと、そのいたずらにきちんと引っかかる藤田の姿は、微笑ましく面白い。今作のパッケージに“VTR「今日のいたずら」最新版をたっぷり収録!!”と、漫才よりも「今日のいたずら」を推したコメントが書かれていたことも頷ける、安定して笑える映像だった。……良いんだか、悪いんだか……。

現在、もしかしたら漫才師として長いトンネルに突入してしまったかもしれないトータルテンボス。現在、彼らはコントツアーを行っているとのこと。一度漫才から離れることで、このトンネルから脱する糸口を見出すことが出来るのかもしれない、という考えがあってのことなのかどうかは分からないが、得策ではあると思う。果たしてトータルテンボスは、再び漫才師として上質のネタを見せることが出来るようになるのか!……期待したい。


・本編(95分)

漫才:「占い師」「医者」「居酒屋」「探偵」「中華料理屋」「避難訓練」「マネージャー」「ペットショップ」

今日のいたずら:「お茶」「鍋」「ファン」「寝起きドッキリ1」「カレーうどん」「ラップ」「寝起きドッキリ2」

・特典映像(34分)

「お笑い界初!前代未聞の前説5人!」(トータルテンボスの副音声付)

トータルテンボス密着48日~コンビを超越した1つの絆~」