菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『お初 見取り図・ガスマスクガールのネタ8本 打ち上げ映像もあるんだって!?』

お初~見取り図・ガスマスクガールのネタ8本 打ち上げ映像もあるんだって!?~ [DVD]お初~見取り図・ガスマスクガールのネタ8本 打ち上げ映像もあるんだって!?~ [DVD]
(2010/11/24)
見取り図・ガスマスクガール

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「見取り図」「ガスマスクガール」という、baseよしもとで活躍している若手コンビ二組のネタを収録している今作は、結論から言うと凡作である。ネタ自体は、決して悪くない。安全牌を重ねながらもきちんと自らの狂気性を提示している見取り図の漫才も、ただ単純にやりたいことをやっているだけの様で実は計算高いガスマスクガールのコントも、どちらもほぼ初見ながら非常に楽しく鑑賞した。どちらもまだまだ若手のコンビであるが故に、未完成さを感じさせられるところもあるにはあったが、それでもきちんと笑える内容にはなっていたのではないかと。

問題は、その構成にある。今作には二組による八本のネタが収録されているのだが、合同単独公演(inなんばグランド花月)で披露されたネタはそのうちの五本で、残りの三本はbaseよしもとで撮影されたものだ。それ自体は、大きな問題ではない。問題なのは、その合同単独公演でのネタ映像と、baseよしもとでのネタ映像の間に、「合同単独公演打ち上げ映像」なるものが挟まっている点にある。この映像自体が悪いのではない。この映像が、ここに挟まっていることが問題なのだ。

「合同単独公演打ち上げ映像」は文字通り、なんばグランド花月での公演を終えた四人が打ち上げを行っている姿を撮影した映像である(厳密に言うと違うのだが、ネタバレになるので自粛)。この映像が、合同単独公演でのネタ映像の後に収録されていることは、一見すると当然のように見えるのかもしれない。だが、冷静になって考えてもらいたい。「合同単独公演打ち上げ映像」が収録されているのは、なんばグランド花月でのネタ映像とbaseよしもとでのネタ映像の間。同じ本編であるにも関わらず、一度終わったものとして落ち着いたところで改めてネタ披露……というのは、ちょっと流れを止めてしまっているように見えないだろうか。少なくとも、僕にはそう見えた。それなら、「baseよしもとなんばグランド花月→合同単独公演打ち上げ」という風にした方が良い。そうすれば、「baseよしもとでネタを披露する普段の彼ら→合同単独公演での彼ら→打ち上げ」という流れを作ることが出来る。baseよしもとで披露しているネタが彼らの代表作であることを考えても、この流れの方が自然じゃないか。

しかも、この流れの後に、「合同単独公演 in なんばグランド花月の舞台裏」という映像があるから、更にややこしい。単純に流れを追うと、「合同単独公演(in なんばグランド花月)→合同単独公演打ち上げ映像→baseよしもと→合同単独公演舞台裏」となる。どう考えても、baseよしもとの映像が悪い意味で浮いている。それならいっそ、特典映像扱いになっている二本のネタと一緒に収録した方が良かったような。……まあ、素人が構成に文句をつけたところで、どうにもならないのだが。ただ、もうちょっとどうにか出来たんじゃないかなあ……という気がして、仕方ないのである。

そんな今作において個人的に最も興味を惹かれたのは、上で取り上げた「合同単独公演 in なんばグランド花月の舞台裏」だった。普段はbaseよしもとで活動している彼らにとって、“なんばグランド花月”の舞台は特別な舞台だ。子どもの頃からテレビで見ていた吉本新喜劇と同じ舞台。そこに立つことは、決して容易ではない。緊張と興奮。関西のお笑いに詳しくない僕でも、この映像から、彼らのなんばグランド花月という舞台に対する並々ならぬ感情を感じ取ることが出来た。青々とした二組の芸人たちによる熱い感情の一枚、構成は残念だけれど観る価値はあるかもしれないっ。


・本編(85分)

【合同単独公演 inなんばグランド花月

「見取り図・漫才『スーツが欲しい』」「ガスマスクガール・コント『姥捨て山にて』」「見取り図・漫才『メイク』」「ガスマスクガール・コント『環状線の車窓から』」「見取り図・漫才『心理テスト』」

【合同単独公演 打ち上げ映像】

【in baseよしもと

ガスマスクガール・コント『走馬灯』」「見取り図・漫才『彼女が欲しい』」「ガスマスクガール・コント『遊んで男優』」

【合同単独公演 inなんばグランド花月の舞台裏】

・特典映像(15分)

ガスマスクガール・コント『怪盗クレーン』」「見取り図・漫才『今日しかできない漫才』」(なんばグランド花月