菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

笑魂(8th Season)

『さんパチ!!』(本編28分+特典18分)

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(2011/01/26)
コア

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ワタナベエンターテインメント所属の漫才師、コアの漫才集。元暴走族という経歴を武器にした漫才を得意とする彼ら。確かに、元暴走族であることは一つの個性といえるのかもしれないが、世間的にあまり芳しく思われていない集団に属していた事実をアピールすることは、一方で有無を言わさず拒絶されてしまう可能性も含んでいる、いわばもろ刃の剣。それを彼らは、きちんと笑えるネタとして提示する。元暴走族だからこそ、説得力がある笑い。結成11年目でありながら、今現在もまるで売れる気配がない彼ら。ここ最近は自らの状況を自虐的に取り上げた漫才も披露しているが、既に彼らは彼らじゃなくては生み出せない笑いを見つけているように思う。一方で、NSCに籍を置いていた(ザ・プラン9ヤナギブソンと同期)というのもあるのだろう、普通の漫才も非常に上手い。今作に収録されている暴走族ネタを用いない『野球と卒業生』『カレー』には、些か感心させられた。

『村おこし』(本編36分+特典2分)

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(2011/01/26)
西村深村

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ワタナベエンターテインメント所属のコント師、西村深村のコント集。徹底して棒読みで展開する彼らのコントは、かつて独自性を強調するためにやはり棒読みでコントを演じていたよゐこの存在を自然と思い起こさせる。ただ、「沢庵を頭に乗せた男が美容室を訪れる」「フナとオタマジャクシが仲良く会話する」など、棒読み以外の部分でも個性を主張していたよゐこのコントに比べて、西村深村のコントは些か弱い。シチュエーションはありきたりだし、ネタの内容も既存の“シュールな笑い”に収まるレベルで、現時点ではまだまだ未熟だ。今後、更にその世界観を煎じ詰めていく必要があるだろう。

『ネズミと亀』(本編42分+特典3分)

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(2011/01/26)
かもめんたる

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サンミュージック所属のコント師かもめんたるのコント集。2010年10月まで“劇団イワサキマキオ”という名前で活動していたので、そちらの名前のイメージが残っている人の方が多いのではないだろうか。正直、僕もまだかもめんたるという名前にしっくりきていない。前の名前の方が良かったような気もするが、“カモメ”と“メンタル”を合わせて“かもめんたる”という名前も悪くはないか。そんなかもめんたるのコントは、黒澤映画を観た万引き犯が黒澤映画の登場人物の様な口調で喋り始める『黒澤』、通訳の男が介護士の友人に金を無心する『通訳と介護士』、学芸会に参加する息子の演技を演出家的視点で指導する『学芸会』など、演技力を重視したネタが多い。かつて劇団を冠していただけのことはある。ただ、まだ内容が演技力に追い付いていないような気も。今後の展開が楽しみ。

『拳から龍が出よったわあああ!!』(本編43分+特典3分)

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(2011/01/26)
瞬間メタル

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タイタン所属のお笑いコンビ、瞬間メタルの『男のショートコント』を中心としたネタ作品集。タケタリーノ山口の良くも悪くも真っ直ぐな男らしさを笑いに昇華する彼らのネタは、何処までも力強くて不器用だ。見せかたなんて関係無い。笑えるかどうかも関係無い。とにかく、如何にして男らしさを見せつけられるか、それだけだ! ……冗談で書いている様に見えるかもしれないが、実際にそういう内容である。男らしさをよく分からない方向へ過剰に膨らませ、それを笑えるかどうかも曖昧な演出で見せる不器用さ。それが良いのか悪いのか、僕にはよく分からない。なにせ男らしさを強調する芸風なので、この不器用さすら個性の様な気がする。好きな人は好き……なのかもしれない。あと余談だけど、前田ばっこーはキャップ被った方が似合っていたと思う。

『いまぶーむのいーとこ ~元なすなかにし~』(本編31分+特典9分)

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(2011/01/26)
いまぶーむ

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松竹芸能所属の漫才師、いまぶーむによる漫才集。かもめんたると同様、こちらも最近になって名前を改めたコンビだ。タイトルにもあるように、かつての彼らはお互いの名字を合体させて“なすなかにし”と名乗っていた。こちらもやはり、以前の名前の方が味わい深くて良かったのではないかと思うのだが。なすなかにしの漫才における最大の特徴は、なんといってもその声質にある。二人の声は、昭和の漫才師を彷彿とさせる腹の据わった声で、一度聞いたらなかなか忘れることが出来ない。技術力も高く、漫才師としての腕前はかなりのものであるといっていいだろう。ただ、肝心のネタに関しては、面白いのだけれど、ところどころで不安定になっているような。もう少しアピールポイントがあれば……。