菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

傑作演映2006『百式 2005』

2丁拳銃 百式 2005 [DVD]2丁拳銃の漫才自体は、それほど新しいものではないように思える。ダウンタウンの漫才などを見たりすると、その考えがやたらと強くなった……などと書くと、それはあまりにも比較対照が高すぎやしないかい、なんて思われそうだ。しかし、いやいや……実際のところ、いわゆる「独創的発想」というものは、別に比較対照を置かずとも、なんとなく感じられるものなのだ。2丁拳銃の漫才は、決して新しいものではない。では、彼らには惹きつけられる芸があるのかというと……それも疑問を覚えなくもない。いや、間違いなく彼らの笑いには芸があるのだけれども、それのみで惹きつけられるのかというと、そうでもない気がするのだ。ただ、この「百式」だけは……特別な発想があるわけではない、特別な芸を持っているわけでもない、そんな2丁拳銃の世界を、唯一構築している空間であるように思えるのだ。思えば、この「百式」も三作品目になる。過去の『百式』も『百式2004』も名作だったが、この『百式2005』が最も出来が良かった。百分という限られた時間の中でのネタの構築が、どんどん上手くなっているし、内容もどんどん面白くなっている。一部、過去の公演を知らないと盛り上がらないシーンもあったが、これはご愛嬌とさせていただこう……それにしても、このまま2丁拳銃は「百式」とともに生きていくのだろうか。そして、「百式」とともに死んでいくのか。……それはそれで、良いのかもしれない。最後に余談。特典に収録されている『演芸漫才』も、なかなか良い。いわゆるパロディ漫才だが、出来は「百式」に負けず劣らず……。

6月21日・収録時間101分+特典31分