菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

小松と尾形の『びーめん生活』。

小松政夫×イッセー尾形のびーめん生活 [DVD]

小松政夫×イッセー尾形のびーめん生活 [DVD]

世界に名だたる名パフォーマーといえば、電げ……じゃなくて、イッセー尾形である。笑えるけれど、コントとはちょっと違う一人芝居を展開させる氏のスタイルは、まさに唯一無二。いずれ重要無形文化財に指定されるだろうモノと言っても、過言ではないのである(イヤ本当に、日本政府は彼を重要無形文化財にすべきだと思ってますヨ)。そんなイッセー尾形も、いつも一人の舞台では寂しいらしい。そこで、たまーに誰かしらをゲストに招いて、二人で芝居をやったりする。今回のゲストは、沢山のギャグを持っていることで有名なシラケドリ……じゃなくて、電線マン……でもないや、ベンジャミン伊東……もう完全に違う人だな、オイ。……あ、そうそう、小松政夫だァ。この二人が舞台をやるわけです、舞台……この二人がァ? 片や、孤独なエンターテイナー。片や、沢山のギャグを持つ喜劇役者。過去に何度も共演しているらしいとはいえ、この二人が立つ舞台って……どうなんだろうねェ。期待と不安の入り混じった心境を抑え、鑑賞した次第でありました。
で、鑑賞後……とにかく、小松政夫には驚かされた。まさか、あそこまでイッセー尾形の世界に入り込むことが出来るとは……いや、先にも書いたように僕は二人が共演する舞台を一度も観たことがなかったので、これはなかなかの衝撃だった。特にそのクオリティの高さを感じた舞台が、DVDの最後に収録されている『新劇』。ロシア演劇をやっている二人の中年男女が、新しく入ってきた女優に舞台というものを教えるという話なのだけれども……これ、確か元来はイッセーの一人舞台用の作品だったはずなのだ。セリフは幾らか違う部分があったと思うけれど、内容は全く同じ。全く同じなのだけれども……雰囲気がまるで違う。一人版の『新劇』は、イッセー演じる役者が新人俳優に逃げられるという展開のためか寂しさの強い内容だった。しかし、この二人版の『新劇』は、イッセー演じる役者の横に共感を持つ小松演じる女優がいるため、寂しさは薄れてコミカルな雰囲気が一気に溢れ出していた。良い……とにかく、良い……。最初、購入することに躊躇していたけれども、これは良い買い物をした。下手したら、イッセーの一人舞台よりも面白かったかもしれない。うーん……複雑だ。まあ、それはそれ。これは、これ。六月に発売されるというイッセーの公演『草月ホール 2005』に期待したいと思います。聞いた話によると、『ピザ屋』の初演があるらしいなァ……。

・内容
『呼込み』『魚屋』『屋台』『新劇』
・収録時間:約102分
・2006年8月27日(楽日) 東京・原宿クエストにて収録