菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『LIVE!清水ミチコのお楽しみ会“リップサービス”』

LIVE!清水ミチコのお楽しみ会“リップサービス”LIVE!清水ミチコのお楽しみ会“リップサービス”
(2008/09/17)
清水ミチコ

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 清水ミチコのライブを観た。言うまでもないが、実際に観に行ったわけではない。ライブDVDが発売されたので、それを購入したのである。いちいち説明するのも面倒臭いが、たまに「ライブに実際に行ったわけでもないのに、偉そうに語るなよ」などと言うバカがいるので、こういうことを書いてみた。そういうことを言いたくなる気持ちは分かりますが、それはそれでDVDに失礼だということを分かっていないんでしょうね。バカだから。映像媒体をバカにするな!

 ……ただ、今回の作品に限っては、ライブを直に観に行ったほうが得だったんじゃないだろうか、とは思った。なんでかっていうと、まあ、単刀直入に言うと……とにかくカットが多いから! 『オープニングの歌』は強制的に早送りにされるし、『LIP SURVUCE』は一部カットされているし(これは同名のCDアルバムを聴けば良いのかもしれない)。その他、具体的には挙げないけれど、カットされているだろうことが予測できるシーンが多く観られた。多分、モノマネの対象となっている人の許可が下りなかったのだろう。或いは、ネタが過激すぎたか。それらカットされた場面を知るためには、ライブに行くしかない。現地主義者の勝利である。無念。

 とはいえ、今作が清水ミチコの本芸を堪能するに足らない作品なのかというと、そんなこともなく。テレビで見かけることのある清水さんの芸よりも、ちょっとだけディープな芸を楽しむことの出来る内容ではあった。まあ、ぶっちゃけた話、元は取れる。ちょっと高い気はするけど。4,500円。4,500円か。4,500円ねえ。うーん……高いよなあ。面白いんだけど、高いよなあ。

 芸は間違いなく面白いんだよ。フランス語の某曲で親子の会話を繰り広げる『イエル・ケ・クク』とか、某有名シンガーソングライターの楽曲を勝手に作るという無礼千万な『リキュールの恋人』とか、ピアノの演奏までも当人に似せてしまうという極上芸っぷりを見せつけている『みっちゃんみちみち ~いもむしごろごろ』とか。単なるモノマネ芸とはちょっと違う、妙な悪意を感じさせられる芸のオンパレード。

 その悪意が頂点に達したような曲が『MY BLACK EYES』『A SONG FOR ME』。前者は、某有名女優の歌唱力をテーマにした楽曲。歌詞の内容も然ることながら、ちょっと歌唱力をアレな感じにして歌っているところが、素晴らしく悪意に満ちていた。わざとアレな感じにしてしまっているところが、実に悪意。後者は、某有名チャリティ番組を意識して作られた楽曲。まあ、とにかく……凄い。ストレートに受け入れると、ただ単に我が道を行ってるだけの様に聴こえるんだけれど、その楽曲が醸し出すチャリティ感(偽善的な感じ?)が凄くて……そこに尋常じゃない悪意を感じるんだな。その悪意が、清水ミチコの(平気でYUKICharaや宇多田やUAを歌い上げてしまえるほどの)とてつもない歌唱力で歌われるわけだから、たまらない。

 だから、入り口としては良いと思うんだよね。清水ミチコという芸人のことを知るための。ただ、入り口の割には値段が高いという……ネックだよなあ、そこが。内容はイマイチ(中途半端に収録されている副音声が、イマイチ感を強調)、芸は極上、値段は高め。ある意味、とってもバランスの悪い作品だったかもしれない。む。


・本編(85分)

『タイトル』『会場でのマナー』『オープニングの歌~MC』『私のフォーク・メドレー』『目マン』『アンケート紹介』『LIP SURVICE』『イエル・ケ・クク』『CM』『MY BLACK EYES』『リキュールの恋人』『ロシア賛辞』『みっちゃんみちみち ~いもむしごろごろ』『プカプカ』『スピッツ作曲法』『歌姫メドレー』『A SONG FOR ME』『エンディング』

・特典:副音声(『オープニング』『私のフォーク・メドレー』のみ)