菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『15周年記念単独ライブ ますだおかだ寄席』

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(2008/12/24)
ますだおかだ

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この2008年、ますだおかだの二人がコンビ結成十五周年を迎えたのだそうです。凄いですね。別に、解散するだろうとか、そういうことを考えていたわけではないんですけれども。こうして無事に結成十五年を迎えたということには、なんだか感慨深いモノを感じずにはいられません。いや、そんなに思い入れがあるコンビというわけではないんですけれど。

そんなますだおかだの二人が、コンビ結成十五周年を記念した単独ライブ公演を行いました。以前、中川家の二人がコンビ結成十周年を記念したイベント「兄弟喧嘩」を行ったことを思い出します。なんとなくですけど、この二組は表裏一体というイメージがあります。プロフェッショナルの中川家、アマチュアリズムのますだおかだ、みたいな。他のM-1チャンピオンと比べて、この二組には、妙な繋がりを感じてしまうんですね。

さて、肝心の単独ライブですが。テーマは“寄席”です。ますだおかだの二人が、持ち芸である「漫才」だけではなく、某番組の出演芸人を真似してみた「エンタ芸」や、岡田さんが某有名漫談師に扮してネタを繰り広げる「漫談」など、様々なスタイルの演芸に挑戦しています。まあ、どのネタも、やってることは基本的に同じなんですが。兎にも角にも、岡田さんの家事情が出てくる出てくる。ある意味、衝撃ですよ。M-1グランプリ2002での優勝以後、ますだおかだの漫才はどうも、岡田さんイジリに流れやすくなってしまっている印象を受けます。面白いから良いんですけど、なんだか将来が不安になりますね。先細りしていくような。

ただ、一本目の漫才は、別の意味で衝撃的でしたね。「徳永英明が芸人のネタをカバーしたら?」という話題から、「色んな人たちが芸人のネタを真似する」という話へと展開する漫才だったのですが、もう目を見張るほどの数のギャグを、パクってます。あくまでネタの一環として見せているので、パクッている感じにはなっていないのですが、けっこう驚愕します。僕はなんとなくですが、芋洗坂係長の『BAD』を思い出しました。こういう漫才を堂々とこなしてしまえるところが、ますだおかだの漫才がアマチュアリズムと言われる所以ですよね。

そんなユルッとした内容に不安を覚えたのでしょうか、特典映像には「単独ライブ 漫才しろ!ますだおかだ」で披露された漫才の一部が収録されています。この漫才、僕はてっきりWOWOWで放送された、他の人が書いた台本をますだおかだの二人が演じるライブのことだと思っていたんですが(「漫才しろ!ますだおかだ~あの人が台本書きました~」のこと)、どうも2006年に行われた単独ライブを収録しているようです。うーん、ちょっと残念。でも、かなりエネルギッシュで骨太な漫才だったので、とても満足。久しぶりに、ますだおかだのガッチリとした漫才を観たような気がします。

ちなみに、幕間映像では増田さんと岡田さんへのインタビューが収録されています。増田さんのどことなくプロレス的シリアスに満ちた発言と、岡田さんのちょくちょく素で空回っている姿が堪能できます。いつもなら、岡田さんの空回りっぷりが印象に残るところなのですが、今回は増田さんのやたらとカッコ良い発言の方が印象に残っています。その中に、キーワードだけを見て答える「ますだおかだに一問一答」というインタビューがあるんですが、これが実に良い! “M-1”を「抜き打ちテスト」、“お笑いブーム”を「興味無し」、“ますだおかだ”を「最後に残った、二人だけになった学園祭実行委員」と答える増田さん。カッコ良すぎです。むー。


・本編(56分)

『漫才 ますだおかだ 其の壱(芸人のギャグを真似る)』『エンタ芸 増岡マーケット』『漫談 綾小路おかまろ』『漫才 ますだおかだ 其の弐(娘の作文)』他インタビュー映像

・特典映像(29分)

単独ライブ「漫才しろ!ますだおかだ」(明治安田生命ホール/2006年11月17日)

『漫才「岡田はセコい」』『漫才「ミッキー」』『漫才「自転車通行法」』『3分間ノリつっこみ漫才』『二世漫才 ~増田ほのか&岡田ゆい~』『漫才「プロ野球2006」』