笑魂『テンゲン 今日もキレてます!!』
テンゲン「今日もキれてます!!」 [DVD] (2009/11/26) テンゲン 商品詳細を見る |
テンゲン。よく知らない。知らないので、大学生の味方ことWikipediaで調べてみた。テンゲンはワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビで、結成されたのは2008年4月とのこと。……結成から二年も経っていないということか。若いな。“テンゲン”という名前の由来は、囲碁用語で基盤の中心の点「天元」から取っているという。……芸風の割に、物凄くちゃんとした根拠のある名前なんだなあ。
マッチョの方はガリ中島といい、実況の方は上簗裕尚というそうだ。ちなみに、実況の人の名前は上條(かみじょう)ではなく、上簗(かみやな)である。なにやらややこしい。二人はワタナベコメディスクールで出会い、コンビを結成したらしい。余談だが二人とも大卒で、中島は立命館大学、上簗は信州大学を卒業しているとか。……結構な学歴のコンビだ。
テンゲンはマッチョと実況のコンビというイメージがある。実際、テレビではそのスタイルのネタしか披露していないのではないかと思う。知らない人のために説明すると、上簗が「競馬」や「F-1」の実況風にボディビルのポージング名を紹介し、それに合わせて、中島がその名前のポージングを取るというスタイルのネタだ。実況に合わせてひたすらポージングを取ろうとする中島の姿が滑稽で、ついつい笑ってしまう。
思えば、お笑いと筋肉というのは意外と深い関係にある。例えば昔、ぶるうたすという芸人がいた。ボディビルのポーズを取りながら漫談するというスタイルで、一世を風靡した芸人だ。彼以外にも、なかやまきんに君やワッキー(ペナルティ)、庄司智春(品川庄司)にレイザーラモンHG、有酸素運動マン(サバンナ八木)など、筋肉質な芸人は数多く存在している。太った人間同士が戦う相撲が見世物として成立しているように、過剰に鍛えられた肉体には何か人々の笑いを誘う滑稽さが含まれているのかもしれない。
話を戻す。今作『今日もキレてます!!』は、テンゲンにとって初めての単独映像作品だ。先に書いた『筋肉競馬』や『筋肉F1』は勿論のこと、漫才やコントなども収録されている。が、そのネタはいずれも、中島のマッチョな体型があってこそ生じる笑いだったりする。それ以上でも以下でもない。筋肉芸人ことなかやまきんに君は、その芸名までも筋肉に取り込まれてしまっているが、テンゲンはそれよりも深く、芸の核の部分までもが筋肉に取り込まれてしまっていると言っても過言ではない。書いていて、だんだん意味が分からなくなってきたけれども、とにかくそういうことなのである。うん。
そんなわけで、新たなる筋肉芸人としての活躍に期待できそうなテンゲンだが、ただちょっとDVDを出すのが早すぎたんじゃないかという気もする。というのも、筋肉にこだわること自体は悪くないと思うんだけど、如何せんネタのバリエーションが少なすぎる。ナベプロは他にもまだまだ所属している若手がいるんだから、その辺に枠を譲ってあげても良かったんじゃないかなあ……と思ったりなんかしちゃったりするのであった。うーん。
・本編(22分)
「筋肉競馬」「ビデオレター」「英語教師」「筋肉F1」「肝試し」「筋肉祭」「叩き売り」「初めての漫才」「筋肉パラパラ」
・特典映像(19分)
「かみやなドッキリ~今日の主役は俺だ~」「ガリ中島のボディビル大会への道」