カンニング竹山単独ライブ『放送禁止 vol.3』※簡易版
カンニング竹山単独ライブ「放送禁止 Vol.3」 [DVD] (2011/04/27) カンニング竹山、鳥居みゆき 他 商品詳細を見る |
2004年に相方が病死して以後、ピン芸人としての活動を続けているカンニング竹山による単独ライブ『放送禁止』第三弾。過去二回と同様、人気放送作家の鈴木おさむが演出を担当している。
テレビでは放送できないだろう危なげなトークを本分としてきた『放送禁止』だが、本作においてもその方針は変わらない。今回のテーマは「竹山にキレてもらう」。キレキャラ芸人として注目されるようになった竹山だが、ここ数年はテレビ業界にどっぷりと浸かってしまったのかキレる機会が少なくなってしまった。だから今回、久しぶりにキレまくってもらおうというのである。とはいえ、その辺の無難なモノにキレられても、面白くない。ここは一つ、テレビでは絶対に口に出来ないようなモノに対して、ちょっとキレてもらおう……と、まあ、そういう内容になっている。
放送コードとは無縁のライブで“放送禁止”を掲げるコンセプトはともかくとして、やっていること自体はそれなりに面白い。竹山が出演した番組、映画、共演した芸能人などに対してキレてみたり、芸能界に蔓延する薬物の恐ろしさについてキレてみたり、テレビでもたまに触れられる某姉さんの件をイジられてキレてみたりと、実に様々なキレっぷりを披露している。ただ、残念なことに、竹山の喋りがその面白さを打ち消している。
竹山の喋りは、いわゆる漫談の人の様な“笑い”を生み出す喋りではない。かといって、ニュース番組で事件を解説している人の様な、重みのある喋りでもない。はっきり言ってしまうと、何も残らない喋りである。記憶した台本をただただ口にしているだけの様な、そういう喋りだ。だから、どんなに面白そうなトークを展開しても笑いにくいし、真剣な話をしていても心に響かない。以前は、この“伝わらない”原因を、鈴木おさむのわざとらしい演出にあると考えていたのだが、むしろ鈴木は頑張っていたのだと認識を改めるべきなのかもしれない。今回は同じ事務所から“天才”鳥居みゆきまで召喚していたが、七味唐辛子程度の効果しか残さず。色々と勿体無い公演だったように思う。
そんな視聴者の溜飲を下げてくれるのが、特典として収録されている有田哲平・山崎弘也・矢作兼による副音声解説である。竹山イジりに定評のある三人は、その芸人らしからぬライブでの演技に対して冗談半分にトークを繰り広げている。しかし、その内容は単なる陰口には留まらない。そこでは、本編を観ただけでは分からない、竹山の本当の面白さが語られている。「サンミュージックよりも俺たちの方が竹山のことを考えている」と自称するだけあって、その語り口はとてもリアルだ。いつか、彼らが語るような竹山の面白さを表現した『放送禁止』が観られる日も来るのだろうか。……鈴木おさむ、頑張れ。
ところで、この副音声トークによると、ザキヤマは「今日、竹山が来るかもしれないと思って」収録に参加したのだという。テレビでも竹山イジりに定評があるザキヤマ。そうすることによって、竹山の面白さをどんどん引き出したいという気持ちがあるのかもしれない。そこにあるのは、きっと芸人としての竹山に対する愛なのだろう。素敵やん。
・本編(129分)
「Act.1:100人キレ手」「Act.2:麻薬と覚せい剤を調べてキレ手」「Act.3:人生の一番のキレ手」
・副音声