菅家アーカイブ

過去のブログで書いてきたお笑いDVDレビューをまとめました。

『第5回 大喜利鴨川杯』『第6回 大喜利鴨川杯』

誰でも参加できる西日本最大規模の大喜利トーナメント“大喜利鴨川杯”の第5回大会(2013年10月25日)・第6回大会(2014年5月18日)の本戦の模様をそれぞれ収録。本作は公式サイトで購入の申し込みが出来るのだが、今回は同大会に出場していたゴハさんから有難く頂戴した。

大喜利といえば、落語家たちがそれぞれのキャラクターを駆使しながら座布団の数を競い合う『笑点』、松本人志が大会チェアマンを務めている『IPPONグランプリ』、バッファロー吾郎がプロデュースする“ガチ”の大喜利トーナメント『ダイナマイト関西』などのように、芸人が本業(ネタ)とは別の余芸としてやっているイメージが強い。とはいえ、その回答の一つ一つにはセンスと発想、そして表現力が集約されている。そんな大喜利を一般の素人がやるなんて、本当に成立するのだろうか……と、鑑賞前の私は疑心暗鬼になっていた。

しかし、いざ再生してみると、全ては杞憂に終わった。鋭い発想、確かなセンス、素人なのにきっちり出来上がっているキャラクター、そしてなによりテンポがえげつない。ヘビーな回答が矢継ぎ早に繰り出されている。思うに、芸人はその発想とセンスをネタやトークにも浪費しているのに対し、一般の素人である彼らはここにしかぶつける場所がないため、これほどのエネルギッシュな回答を量産することが出来るのだろう(会場が一般客の少ない閉鎖的な空間であることも大きいのだろうが……)。個人的には、“スズケン”さんと“番茶が飲みたい”さんの存在感に打ちのめされた。スズケンさんは誘い笑いエグいな……。

と、ここまで書いてみて気が付いたが、大喜利のDVDはレビューが難しい。漫才やコントの場合、その設定や構成を説明することで(いわば本質の外側を語ることで)、その本質的な魅力を感じさせることが出来るが、大喜利の場合は肝心要の回答そのものがずばり魅力なので、その面白さを説明するためには、どうしてもネタバレをしなくてはならないからだ。だから、ここは私の眼を信用して頂いて、もとい、騙されたと思って、本作を入手してもらいたい。一応、YouTubeで予選の模様を確認できるので、それを見て判断してもらっても構わない。

アマチュアリズムの結晶、その粗く鋭く下らない世界を見よ。


■第5回大会【121分】

■第6回大会【131分】